Winny(ウィニー)は、インターネットを介して他のユーザーとファイルを交換するためのソフトである。Webのように、ネット上のWebサーバーに複数のユーザーがアクセスする形態ではなく、ぞれぞれのWinnyパソコンが相互にアクセスし合う(下図)。各ユーザーが所有するファイルを、ユーザー同士で簡単に交換することができ、「ピアツーピア型ソフト」「ファイル交換ソフト」などと総称されている。

【Winnyネットワーク上でファイル交換する仕組み】

 Winnyの最初のバージョンが公開されたのはは2002年。翌2003年5月にWinny2として刷新された。利用者のユーザーIDなどは必要なく、匿名性が保たれたままファイル交換が成立することに特徴がある。この匿名性が、流出したファイルを取り戻せない一つの原因になっている。

 個人間でファイルを交換し合う行為自体に違法性はなく、例えば、個人で撮影したデジカメ写真をユーザー間で交換すのに問題はない。ただ、Winnyネットワーク上では、著作権を侵害したファイルが多数流れている。実際、2003年11月にWinnyを使って市販のゲームソフトを不正に流していたユーザーが逮捕され、さらにその犯罪をほう助したとして2004年5月にはWinny開発者の東大助教授までが逮捕された。

最低限知っておきたいWinnyの動き

 では、そもそもWinnyはどのような仕組みで動いているのだろうか。具体的に説明しよう。
 Winnyは、Winnyをインストールしたパソコン同志でピアツーピア型のネットワークを形成する。Winnyをインストールしたパソコンで、欲しいファイルを検索すると、他のWinnyパソコンからそれを見つ出す仕組みになっている。

 図の通り、Winnyをインストールしたパソコン上には「アップロードフォルダー」と「ダウンロードフォルダー」「キャッシュフォルダー」が存在する。アップロードフォルダーは、Winnyネットワーク内の誰もがアクセスできる、いわば共有フォルダーのようなもの。自分が公開してもいいと思うファイルを、このフォルダーに置いておけば、勝手にWinnyネットワーク内の他ユーザーがダウンロードできるようになる。

 ダウンロードフォルダーはその名の通り、Winnyネットワークからダウンロードしたファイルを保存するフォルダーである。欲しいファイルがある場合は、Winnyを起動し、ファイル名やキーワードなどを指定して検索を実行。こうして検索され、ヒットしたファイルが、ユーザーのWinny画面内に検索結果として表示される。検索結果から好みのファイルをダウンロードすれば、ダウンロードフォルダーに保存される。

 ダウンロードフォルダーに保存されたファイルは、アップロードフォルダーにファイルを移動しなくても、Winnyネットワークに自動で公開される。これにより、検索されたファイルが次々とWinnyネットワーク内を流通していく。

 キャッシュフォルダーは、公開するファイルやダウンロードしたファイルを暗号化して格納するためのフォルダーである。アップロードやダウンロードなどのファイルのやり取りは、キャッシュフォルダーを仲介して行われる。