最近店頭に並んでいるスキャナーは、ほとんどが、取り込んだイメージをPDFファイルにして保存する機能を持っている。なかには、スキャナー本体に専用の「PDF化スキャン」ボタンを備え、このボタンを押すだけで紙の書類をPDFファイルにできる便利な機種もある。

 スキャナーがあらかじめ備えているPDF化機能は手軽に使うことができるのだが、市販のPDF化ソフトを追加して使う場合に比べ、いろいろ制約があることが多い。まず、カラーの書類に対応していないことがある。また、2枚以上の書類を取り込んで1つのPDFファイルにまとめることができない、書類の内容をテキストにして検索できるようにした「透明テキスト付きPDF」が作れない、といった制限を持つ機種もある。

 新たにスキャナーを購入して、とりあえず、その標準機能で紙の書類をPDF化しようと考えているなら「カラー」「複数ページ」「透明テキスト付き」の3点をクリアしているかどうかをチェックするようにしよう。

 スキャナーには「フラットベッドスキャナー」「シートフィードスキャナー」「プリンター複合機」という、3 つのタイプがある。なかでもPDF化作業にお勧めなのが、書類を素早くどんどん取り込んでいく目的で作られているシートフィードスキャナーだ。一方、フラットベッドスキャナーは価格が安く手軽。書類のPDF化以外の用途にもスキャナーを使うかどうか、予算などを勘案して最適な機種を選ぼう。

 では、実際にスキャナーで書類をPDFファイルにする手順を見てみよう。例に使ったのは、キヤノンのフラットベッドスキャナー「CanoScan LiDE60」だ。1万3000円弱(2005年9月時点)の低価格製品ながら、PDF 化機能については、カラー文書や複数ページにも対応。透明付きテキストPDFファイルも作れる。

 作業は簡単だ。まずは書類をスキャナーにセットする(図1)。次に、専用の設定画面から、ファイルの種類として「PDF」を選びスキャンを実行する(図2)。

図1 ここでは新聞の切り抜きをセットした

図2 「CanoScan Toolbox」を起動して「PDF」ボタンをクリック

 この際、文書の種類に応じてカラーか白黒モードか、単体のページか複数ページかなどを設定する(図3)。スキャンの実行は、スキャナーの前面パネルにある「PDF」ボタンを押してもいい。

図3 文書の種類に合わせて設定。新聞なら「白黒」モードに。A4用紙2枚分の貼り合わせ機能なども利用できる

 あとは自動的に紙の書類が画像としてパソコンに取り込まれ、さらにPDFファイルに変換される。同時に、画像中の文字部分がOCRという処理でテキスト化され、画像の上に重ねられる。このような構造になっているPDFファイルを「透明テキスト付きPDF」と呼ぶ。透明テキスト付きPDFにの基本的な扱い方は、普通のPDFファイルと同じだ。Adobe Readerで開いて見ることができるし、中に含まれるテキストの検索もできる(図4)。

図4 スキャンした文書がPDF形式で保存され、「ファイル管理革命Lite」の画面に現れる。PDF もサムネイル表示されるので便利だ。できたPDFは透明テキスト付きPDFになっている