インクジェットプリンターのインクは、ビニール袋で密封するなど、できるだけ長持ちする状態で出荷されます。とはいえ、あまり長い時間が経過すると、インクが劣化して品質が落ちる可能性もあります。このため、メーカーでは使用期限を設けており、通常インクの箱には推奨使用期限が記載されています。

【インクの箱には使用期限が表示】
メーカーや機種によっては、インクカートリッジの箱に使用期限を表示している。ここを見ることで、プリンターに取り付ける前にインクが古くないかどうかを確認できる

 セイコーエプソンは、「一気に劣化することはない」としながらも、製造してから約2~3年後をインクの推奨使用期限に設定しています。買ってから長い間使っていなかったインクを使う場合は、取り付け前に使用期限を確かめておくといいでしょう。

 販売店でインクを購入する時にも、念のために使用期限が近づいていないかどうかを確認しておけば安心です。インクを開封してプリンターに取り付けた場合は、インクの寿命は推奨使用期限より縮まる傾向があります。密封状態でなくなってしまうため、インクの水分が乾燥しやすくなるからです。

 インク内の水分が少なくなると、発色が悪くなるだけでなく、ノズルにインクが詰まって印刷できなくなることもあります。あまりにも長い間取り付けたままのインクは、交換したほうが無難でしょう。キヤノンや日本ヒューレット・パッカード(HP)は、プリンターに取り付けてから6カ月以内にインクを使い切ることを推奨しています。

温度が寿命に影響

 とはいえ、一般的な家庭では、6カ月以内にすべてのインクを使い切ることは、あまりないでしょう。そこで、できるだけインクを長持ちさせるための方法を紹介しましょう。

 まず、気をつけなければいけない点は温度です。温度が高いと、カートリッジ内の水分が蒸発しやすくなります。湿度が極端に低い場合も乾燥しやすくなります。プリンターメーカーは、推奨の使用環境を提示しています。この範囲内であれば、問題ないでしょう。

【プリンター用インクの使用期限】

 プリンターの設置場所は、日光に当たらない暗所を選ぶことも大切です。またヘッドなどのインクの目詰まりを防ぐには長時間放置せず、こまめに印刷をした方がいいでしょう。日本HPは、「1週間に1回程度は印刷するのがお勧め」といいます。

 テキスト印刷用、写真用と複数のインクカートリッジを入れ替えて使うプリンターもあります。プリンターから取り外したカートリッジは専用のケースに収めて保管しておけば、乾燥や衝撃から保護できます。日本HPのプリンターには、このケースを添付している製品があります。

 なお、古いインクを使う場合は、「装着の前に軽く振ると沈殿が拡散される」(セイコーエプソン)そうです。わずかながらでも、インク品質の回復が期待できます。