Excelには300以上のワークシート関数がある。その中で、「最も有名でよく使われる関数は?」と質問すれば、誰もが「SUM関数」と答えるだろう。数値の合計を計算するSUM関数は基本中の基本。ツールバーの「オートサム」ボタンをクリックすれば、ワンタッチで入力することもできる。ところが、このSUM関数は、ケースによっては予期せぬ計算間違いをすることもある。

 図1をご覧いただきたい。A1セルからA5セルに入力された数字を、A6セルのSUM関数で合計しているところだ。数式バーに表示されている参照セルのアドレスも間違いはない。ところが、よく見ると、計算が合っていないようだ。合計の数字が30少ない。どうやらA3セルを計算していないらしい。原因は何だろう。

 実は、A3セルの「30」は、先頭に「"」(シングルコーテーション)を付けた文字列だったのだ(図2)。セルの書式設定で横位置を「右寄せ」に設定すると、このように見た目で区別できなくなる。複数の人が手分けして入力したデータを、ひとつのブックに合体したときなどに起こりやすい現象だ。

 文字列として入力した数値データを、純粋な数字に変換するには次のようにするといい。

(1)隣の列(ここではB列)に=A1*1という式を入力して、データが入っている範囲にコピーする。(図3)

(2)B列の式を選択して「編集」→「コピー」などでクリップボードにコピーする。

(3)元のデータが入っている先頭セル(ここではA1セル)にアクティブセルを移動して、「編集」→「形式を選択して貼り付け」を実行する。

(4)表示された「形式を選択して貼り付け」ダイアログボックスで「値」にチェックを付けて「OK」ボタンをクリックする。(図4)

(5)不要になったB列を削除する。

図1 SUM関数で数値の合計を計算しているところ。ナント、計算結果が間違っている

図2 A3セルは、数字を文字列として入力して、右寄せで表示されていた

図3 隣の列に=A1*1という式を入力して、データが入っている範囲にコピーする

図4 「形式を選択して貼り付け」で「値」にチェックを付けて「OK」をクリック