あなたがExcel 97を使っていたとする。ワークシートにデータを入力し罫線を引き、レイアウトを整えてブックを保存する。そのブックを他の部署に渡したら「ブックを開けない」と文句を言われた。「そんなバカな」と大声を出す前に落ち着いて確認してほしい。「そちらの部署で使っているExcelのバージョンはいくつですか?」と。

 Excelはバージョアップのたびに新しい機能が追加される。例えば「セルの結合」機能はExcel 97で新設された機能で、Excel 5.0/95には存在しない。従って、Excel 97で作成したデータにセルの結合機能が使われていた場合、そのブックをExcel 5.0/95で開いてもセルは結合されないのだ。さらに、Excel 5.0/95とExcel 97ではブックの形式が変わった。ブック内にデータを記録するフォーマットが変わったため、Excel 97形式で保存したブックはExcel 5.0/95で開くことさえできないのだ。もちろん逆は可能だ。Excel 5.0/95形式で作成したブックはExcel 97で開くことができる。

 こうした異バージョン間のトラブルは、上位バージョンのExcelでファイルを保存するときに、下位バージョンの形式で保存するとうまくいく。Excel 97でブックを保存するとき「Excel 5.0/95形式」または「Excel 97およびExcel 5.0/95形式」を選択すればいい。

 毎回保存するブックの形式を選択するのが面倒くさい場合は、既定のファイル形式を変更してしまおう。「ツール」メニューの「オプション」を選択して表示される「オプション」ダイアログボックスの「移行」タブを開き、「ファイルの保存形式」で「Excel 5.0/95形式」または「Excel 97およびExcel 5.0/95形式」などを指定する。これで次回から、指定した形式でブックが保存されることになる。

図1 既定のファイル形式を変更すると、保存するブックの形式を設定することができる。もちろん、「ファイル名を付けて保存」ダイアログボックスで別の形式を選択することもできる