日本音楽著作権協会(JASRAC)や実演家著作隣接権センター(CPRA)など著作権関連団体28法人で構成する「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」は2007年11月9日、私的録音録画補償金制度の見直しをめぐって意見の対立する電子情報技術産業協会(JEITA)に対し、公開質問状を送付することを表明した。JEITAは10月16日、同制度に関する見解を発表しており、この中で「技術的にコピー制限されているデジタル放送の録画機器を補償の対象とする必要はない」と表明。こうした動きに権利者側が反発を強めている。

 デジタルコンテンツの著作権保護をめぐっては、私的録音録画補償金制度の抜本見直しが文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会で2006年4月から話し合われている。また、デジタル放送の複製を制限している、いわゆるコピーワンス方式の見直しが、総務省 情報通信政策部会 デジタルコンテンツの流通の促進等に関する検討委員会で2006年9月から2007年7月まで行われていた。

 公開質問状の送付に先立ち会見した権利者側関係者によると、JEITA側の代表者は執拗(しつよう)に原則論にこだわり、文化審議会や情報通信政策部会で議論してようやく合意したはずの妥協点をも軽視するかのような姿勢を表明しているとする。

 「情報通信政策部会では、JEITAの代表者はEPNだけを主張し続けた。EPN以外の方法もあり得ることが別の関係者から示された後も、議題が具体的なコピー制限回数を何回とするかに移った後も、議論の場に降りてこなかった。そうした点に不信感があり、何を考えているのか分からないという印象がある」(CPRA 運営委員の椎名和夫氏)、「文化審議会では、『仮に補償の必要性がある場合』との条件付きながら補償金の細かい設計修正まで話し合って文書化しており、JEITA側の代表者も納得しているはず。にもかかわらず、中間報告の公表後にデジタル放送への補償金不要論を改めて打ち出した。文化審議会での議論を踏まえて新たな見解を公表するならまだ分かるが、この時点でなお原則論を繰り返されては妥協を無駄にしてしまう恐れもあり、フェアでない」(日本音楽作家団体協議会 理事長の小六禮次郎氏)と、JEITA側の姿勢を非難した。

 権利者側では、今回の質問状について12月7日までに回答するようJEITA側に求めている。「回答が来るかどうかは分からない。ただ、これを機にJEITA側が話し合いの席についてくれればと願っている」(椎名氏)とする。具体的には、「文化審議会や情報通信政策部会に出席しているJEITAの法務関係者の意見が、本当にメーカー側を代表した声なのかどうか。個々にJEITA参画メーカーの経営者と話すと、必ずしもJEITAの法務関係者の主張と同じではないと感じている。今回の公開質問状をキッカケとして、メーカー側で関係する方々に少しでも関心を持ってもらえればと考えている」(椎名氏)とした。