NTTドコモは2007年8月30日、OSにWindows Mobile 6を採用したスマートフォン2機種を、2008年1月から同3月にかけて発売すると発表した。台湾HTC製の「HT1100」と富士通製の「F1100」である。これまで国内で販売されているスマートフォンは、いずれも携帯情報端末(PDA)をベースにした大きなきょう体のものだったが、今回の2製品は一般の携帯電話と同様の小型なきょう体としている。法人向けが主体だが、「個人向けにドコモショップの一部店舗でも販売する予定」(NTTドコモ 執行役員 プロダクト&サービス本部 プロダクト部長の永田清人氏)という。

 HT1100は、スタイラスペンを使わず指でタッチパネルを操作可能にしたのが特徴。米アップルの「iPhone」などと同様、指で画面に触れたりなぞったりすることで多様な操作ができる。また、待ち受け表示用のソフトウエアを独自開発しており、時計や天気予報、ソフトウエア起動用のランチャー、着信音の設定画面などを簡単な操作で呼び出せる。このほか、音楽再生ソフトや米グーグルの動画投稿サイト「YouTube」用の再生ソフトなどをプリインストールする。通信方式は、下り最大3.6MbpsのHSDPAGSM。このほか、BluetoothのモジュールとFMチューナーを内蔵する。

 F1100は、HSDPAに加えIEEE 802.11a/b/gの無線LAN通信機能を搭載したのが特徴である。「法人内で、無線LANを用いた内線IP電話機として使用することが可能」(富士通 経営執行役上席常務の伊藤公久氏)。また指紋認証モジュールや無線LANモジュールも内蔵。HT1100と同様に、独自開発の待ち受け表示用ソフトウエアを実装している。このほか、非接触型ICカード「FeliCa」のモジュールを備えているが、「法人向けの業務システムを構築する際にF1100をICカードとして利用することを想定したもので、個人向けに展開している『おサイフケータイ』のサービスを使えるものではない」(富士通の説明員)という。

 NTTドコモはこれまでに、スマートフォンを3機種発売しているが、個人向けにはほとんど販売実績がない。今回の2製品により、個人向けのスマートフォン市場への本格参入をもくろむ。「従来のPDA型スマートフォンとは違い、今回提供するような普通の携帯電話に近いきょう体でWindowsを採用したスマートフォンというのは、新しい市場だと考えている。今まではあまり個人向け市場で存在感を出せなかったが、今回の製品で存在感を出せればと考えている」(永田氏)とする。

 スマートフォン共通の課題の1つである、操作に対する反応の遅さについては、「今回の製品でもいろいろお叱りは受けるだろうが、従来の製品に比べれば改善はしていると思う」(永田氏)としている。