NECと日立製作所など3社は2007年7月30日、パソコンの稼働音を従来の3分の1に減らせる水冷システムを共同開発したと発表した。水冷の対象となる部品は、CPUおよびハードディスク。ハードディスクに対応した水冷システムは世界で初めてだという。開発成功を受けてNECは、グループ会社のNECパーソナルプロダクツが出荷する新型パソコンに水冷システムのユニットを搭載する。対象は、9月ごろ出荷される秋冬モデルのうち、デスクトップ型のモデルになる見込み。ユニットは、日立製作所がマレーシア工場で生産し、これをNECが供給を受ける。

 両社が新システムの開発に踏み切った背景として、テレパソと呼ばれるテレビ機能付きのパソコンが普及し、パソコンの画面で番組を楽しむユーザーが増えたことが挙げられる。「視聴時間が長くなりつつあり、AV機器並みの静音性が求められるようになった」(NECパーソナルプロダクツの小野寺忠司・統轄マネージャ)。

 新システムの稼働音は、DVDレコーダーと同程度。従来型の水冷システムを搭載したパソコンの場合、CPUとハードディスクが高負荷に動作した状態で、稼働音は32~33dBだった(30dBはささやき声レベル)。これに対し新システムを利用すると、同じ条件下で聴力検査室レベルの静かさである25dBにまで稼働音が下がる。

 水冷システムの工夫点として、まずCPUに装着する銅製の冷却ジャケットの冷却効率を高めたことが挙げられる。ジャケット内に張り巡らせた水路の幅を、従来0.15mmから髪の毛並みの0.09mmに狭めた。もう一つが吸音材付きのハードディスク用冷却ボックス。冷却ジャケットでハードディスクを覆い、10dB以上の騒音低減効果があるという。