日本レコード協会(RIAJ)は2007年10~11月にも、携帯電話向けの音楽配信サイトを対象にした認証マーク制度を創設する。携帯電話向けの音楽配信サイトは「着うた」「着うたフル」として広く普及しているが、権利者に無断で楽曲データを無料配信する違法サイトも急増しており問題となっている。配信サイトが適法か違法かを判別できる仕組みを整備することで、違法サイトの排除を図る。2007年6月27日に開催された文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会において、RIAJ関係者が表明した。

 認証マークはRIAJが作成し、商標登録を出願する。RIAJは正規の配信事業者に対し、認証マークと管理番号を配布する。配信事業者は、配信サイトのトップ画面と、個々の音楽のダウンロード確認ページにおいて、認証マークと管理番号を表示する。違法サイトに対しては認証マークを配布しない。ユーザーにとっては、認証マークと管理番号の有無により、配信サイトが適法か違法かを判別しやすくなる。

 違法サイトの運営者が認証マークを不正に入手して違法サイト上で表示したり、類似したマークを作って表示するようなケースも考えられる。この場合、RIAJは認証マークの商標権侵害を根拠として、違法サイトの運営者に対しマークの使用差し止めを請求する。

 RIAJのまとめによると、2006年の国内における音楽配信サービスの総売上高は約535億円。このうち9割に当たる約482億円が「着うた」「着うたフル」などの携帯電話向け配信である。しかし、2005年ころから携帯電話向けの違法配信サイトが「ものすごい勢いで広がっている」(ソニー・ミュージックエンタテインメント 取締役の秦幸雄氏)といい、現在では正規の配信サイトを脅かす存在になっているという。

 RIAJは携帯電話事業者と共同で、携帯電話事業者側で違法配信を遮断するシステムの検討や、違法サイト運営者に対する警告などを進めている。また2007年6月には「携帯音楽を守りたい」と題した消費者向けキャンペーンを展開するなどの啓もう活動も実施している。しかし、「こうした施策は全く効果がないのが現状。特に10代のユーザーの売上が目に見えて減少しており、『着うたは無料』という認識さえ広がりつつある状態」(秦氏)という。認証マークの導入により、こうした状況の打開を図る考えだ。

 認証マークが実効性あるものになるには、認証マークがどれだけ普及し各社の配信サイトを網羅できるかという課題があるが、この点はほぼ問題ないとRIAJでは見ている。「既に、レーベルモバイルやドワンゴなど主要な正規配信事業者に対して、概要を説明し協力を取り付けている。今後、インディーズ楽曲の配信サイトなどにも協力を呼びかけていくが、正規配信事業者にとってもメリットのある話であり、基本的には理解を得られると考えている」(RIAJ 法務部 副部長の畑陽一郎氏)。

 RIAJでは運用開始に向け、認証マークのデザイン、認証マークの配布基準などの詳細を今後詰める。将来的には音楽以外のコンテンツ配信に対しても同マークの使用を呼びかけ、認証マークの認知度向上に努める考え。