セキュリティ対策ソフトなどを開発販売するウェブルート・ソフトウェアは2007年5月24日、詐欺的な手口でユーザーにインストールさせようとする“偽セキュリティソフト”の一つ「WinAntiVirus Pro」の新版を確認したことを明らかにした。

 ここでの“偽セキュリティソフト”とは、大した機能を持たないにもかかわらず、ウイルス対策やスパイウエア対策などの機能を備えていると偽って購入させようとするソフトを指す。

 こういったソフトを販売する人物は、さまざまなWebサイトの広告スペースなどに「ウイルスが見つかりました」といった偽の警告メッセージを表示してユーザーをソフトのダウンロードサイトに誘導し、インストールおよび購入させようとする。

 WinAntiVirus Proは、そういったソフトの“代表格”。2006年には、インタフェースを日本語化した「WinAntiVirus Pro 2006 日本語版」が出現。そして今回、その新版に当たるWinAntiVirus Pro 2007 日本語版が確認された。

 WinAntiVirus Pro 2007では、機能しているように見せかける手口が、より巧妙になったという。例えば、従来版のWinAntiVirus Pro 2006でウイルススキャンを実施すると、スキャンは短時間で終了し、ウイルスが検出されることもほとんどないため、実際にスキャンしているかどうかが疑わしい。

 ところが新版では、パソコンのハードディスクを実際にチェックしている可能性が高いという。チェックに時間がかかるとともに、ソフトの画面上には、チェック中のファイルとして、実在するファイルが次々と表示される。

 ただ、きちんと機能しているかどうかは怪しい。ウェブルート・ソフトウェアのテクニカルサポートディレクター野々下幸治氏が試したところ、Windowsに含まれるプログラムファイル「deldrv.exe」が、ウイルスとして検出されたという(図)。

 これが、「ユーザーを脅かすために、ウイルスではないファイルをウイルスとしてわざと表示しているのか、それとも、誤検出しているためなのかは不明」(野々下氏)だという。どちらにしても、宣伝文句の通りには機能していないことは事実。ユーザーにとって迷惑であることは間違いない。

 ウェブルート・ソフトウェアでは、こういったソフトをインストールしないよう、あらためて注意を呼びかけている。