富士通は2006年10月13日、企業向けノートパソコン「FMV-LIFEBOOK」でフラッシュメモリー搭載モデルを発表した。フラッシュメモリー搭載は、ソニーの超小型パソコン「VAIO type U VGN-UX90PS」でも実現しているが、本格的なノートパソコンとしては富士通の製品が国内初となる。

 FMV-LIFEBOOKシリーズの中の、12.1型液晶の「FMV-B8230」と12.1型横長液晶の「FMV-Q8230」で、フラッシュメモリー搭載をBTOで選択できる。容量は16GBと32GBの2種類がある。選択時に上乗せされる価格は、16GBは8万4000円、32GBは16万8000円となる。なお、フラッシュメモリーを搭載する構成では、ゼロスピンドルモデルが前提なので、内蔵ハードディスク(HDD)は選択できない。

 フラッシュメモリーを搭載するメリットは起動時間の短縮、省電力化、軽量化など。富士通がWindows XP Home Editionで、1.8インチHDDを搭載したFMV-B8230で実験したところ、起動時間は約33秒から18秒になり、おおよそ58%短縮できたという。バッテリー駆動時間は搭載バッテリーの容量によって異なるが、20~30分は延長できる。重さは2.5インチHDD搭載モデルとの比較で75g、1.8インチHDD搭載モデルとの比較で15g軽くなる。

 製品が登場したといえ、普及にはまだ時間がかかりそうだ。「フラッシュメモリーのコストが高いため、ロット数の目安は立てていない。注文がきてから生産する受注生産になる」(富士通のパーソナルマーケティング統括部 丸子正道氏)。フラッシュメモリーの価格は前年比約半分と年々下がってきてはいるものの「現在の価格の2割程度にならないとまだまだ。BTOで数千円レベルの追加費用にならないと普及は難しい」(丸子氏)という。

 なお、FMV-B8230では、米シーゲイトテクノロジーの「FDE(Full Disc Encryption)」暗号化機能を搭載するHDDを選択することもできる。FDEとはHDDに送られてきたデータをすべて暗号化してから書き込む技術。専用チップを利用してハードウエアによる暗号化を行えるのが特徴だ。同社はFDEを搭載したHDDを2005年5月に発表しており、「今回の富士通がFDE搭載のHDDを採用した世界初のパソコン」(日本シーゲイト)になる。富士通では暗号化機能付きHDDの受注を、FMV-B8230全体の10%ほどと見込んでいる。

 FMV-B8230はCore Solo U1400(1.2GHz)、HDDが20GB、メモリーが512MBのモデルが21万8400円で10月下旬発売。暗号化機能付きHDDを選択した場合、23万4150円、16GBのフラッシュメモリー搭載時は30万2400円で11月下旬発売。FMV-Q8230はCore Solo U1400(1.2GHz)、HDDが20GB、メモリーが512MBのモデルが24万5700円で11月上旬発売。フラッシュメモリー搭載時は31万4000円で11月下旬となる。個人向けのサポートは用意していないが、企業向けのWebサイトから個人が購入することも可能。

FMV-B8230のフラッシュメモリー搭載モデル(左)と2.5インチHDD搭載モデル(右)