「2007年1月の初めがいいのか下旬がいいか、さらに2月以降がいいか、さまざまな状況から判断する」--。Windows Vistaの出荷時期について問われた米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは、明言を避けた。2006年5月24日に開催された、NECとの協業に関する記者会見の席上での出来事だ。

 マイクロソフトは2006年3月に、当初2006年中に出荷する予定だったWindows Vistaのコンシューマ向けの提供を2007年1月に延期すると発表していた。しかしここへきて、米メディアを中心に「出荷がさらに遅れる可能性がある」との憶測が広まっていた。そこで冒頭の質問が飛び出したわけだが、バルマー氏の口からはっきりとした答えは聞かれなかった。「(Windowsの責任者である)ジム・オールチンがあのときはっきりさせたのは、Windows Vistaが2006年のクリスマス商戦に間に合うかどうか、である。これは、ハードウエアメーカーにとって重大な問題だからだ。そこで我々は、間に合わないということを伝えた。となると次の出荷のチャンスは2007年の1月以降になる。具体的にいつがいいのかは、ハードウエアのライフサイクルや、ベータ版に対するフィードバックなどを考慮して検討している」(バルマー氏)。

 なお記者会見では、マイクロソフトとNECが企業ネットワークや高性能コンピュータ分野で協業関係を拡大することが発表された。NECのIP電話システムサーバー「UNIVERGE SV7000」とマイクロソフトの「Office Live Communications Server」の連携強化や、NECと米ユニシスが共同で開発する高性能サーバーにOS面でマイクロソフトが協力することなどが協業の内容。これにより、NECはこれらの分野での海外展開の拡大を狙う。また技術開発を促進するため、大規模な特許のクロスライセンス契約を結んだことも明らかにした。

 国内分野では、.NET Framework対応の自治体向けパッケージソフトをNECが開発し、2006年中にも発売する。また「Windows Media Center Edition(MCE)」分野での協業関係も発展させる予定で、MCEがカバーしていない、地上デジタルやBSデジタルなどの機能についてNECが開発を進めるという。ただ、実現時期や、どのような形で製品に実装されるかは現時点では決まっていないという。