オープンソースのオフィス・ソフトOpenOfficeを検討するユーザーが増えている。機能やMS Officeとの互換性の高さから,コスト削減の手段として注目を集めている。ただし,マクロやレイアウトなどでMS Officeと互換性のない部分がある。適用範囲を知り,運用でカバーしたり,有償版を活用するなどして効果を引き出そう。
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手芸やホビーの小売店チェーンを経営する藤久は,OpenOfficeの有償版であるStarSuiteを小売店約400店に導入している。
ユーザーは,「機能的には十分実用レベルに達している」(産業技術総合研究所 情報処理研究部門副研究部門長 戸村哲氏)と評価する。ただし,MS Officeとの互換性については,現時点ではいくつかの不完全な点がある。MS Officeとデータをやりとりする場合には,それらの非互換性を,運用方法で補うなどの必要がある。
無視できないコスト
OpenOfficeは,米Sun Microsystemsがオープンソース・ソフトとして公開しているオフィス・ソフトである*2。SunはOpenOfficeの有償版をStarOffice(日本ではStarSuite)という名称で販売している。
OpenOfficeは,ワープロ(Writer),表計算(Calc),プレゼンテーション(Impress),描画(Draw),数式エディタ(Math)で構成されるソフトウエアである(図1[拡大表示])。
MS Officeとよく似た操作感を持ち,Word,Excel,PowerPoint形式ファイルの読み込みと保存が可能。Windowsだけでなく,Linux,Solaris,FreeBSDやMac OS Xでも動作する。Javaではなく各OSのネイティブ・アプリケーションであり,MS Officeと比較して動作速度が劣ることはない。Windows版ではOLEオブジェクトをドキュメントに埋め込むこともできる。ユーザーが行った一連の操作をマクロとして記録して,呼び出すことも可能である。
MS Officeにはない機能もある。PDFファイルを生成する機能を持つほか,プレゼンテーションをFlashとして出力することもできる。
これらの特徴から,MS Officeの代替となるオフィス・ソフトとして検討する動きが高まっている。
最も大きなメリットは価格だ。OpenOfficeは,5万円程度のMS Office Standard版に相当する構成である。5万円といえば,近年のパソコンの低価格化により,パソコン本体の価格に迫る。オフィス・ソフトのコストはもはや無視できない重みを持つといえる。