JBossは,DBアクセスの自動化やクラスタリングなど,商用製品にそん色ない機能を備える,EJB対応Javaアプリケーション・サーバーである。インテグレータは性能や信頼性も商用製品にそん色ないと評価する。課題は日本での情報やサポートの不足などだ。
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野村総合研究所や宮城県 名取市,ECサイトのオイシックスなどが,業務システムにJBossを採用している。野村総合研究所 技術情報本部 システム技術部 オープンソースソリューションセンター グループマネージャー 西片公一氏は「性能や機能面でも商用のEJB対応APサーバーとそん色ない」と評価する。
DBアクセスの自動化やクラスタリング
JBossは,JBoss Organizationが開発しているオープンソースのJ2EE*2サーバーである。LGPL*3と呼ばれるオープンソース・ライセンスのもとで配布されており,無償で使用することができる。
JBoss 3.Xは,EJB 2.0仕様に相当するEJBコンテナとしての機能を備えており,EJBの一種Entity BeanのCMP(Container Managed Persistency)により,DBアクセスを自動化することができる。すなわちプログラマがSQL文を記述しなくとも,データベースのEJBコンテナであるJBossがSQL文を自動生成し実行するため,開発生産性を向上させることが可能だ(図1[拡大表示])。
もちろんEJBの基本機能である分散アプリケーションの構築やトランザクション管理機能も持つ。複数のAPサーバーでセッション情報を共有したクラスタリングにより,負荷分散や冗長化を行うことができる。
稼働中にJavaプログラムを配備したり変更したりすることのできる,ホット・デプロイと呼ばれる機能も備えている。
JBoss自体は,サーブレット・コンテナの機能は持たない。オープンソースのサーブレット・コンテナであるTomcatが標準でJBossにバンドルされており,通常Tomcatと組み合わせて使用される。
1日に数十万通のメールを作成,配信
JBoss Organizationによれば,JBossはこれまでに500万件以上のダウンロードがあり,米国国防総省や米WorldCom,米Motorola,米NortelなどがJBossのユーザーであるという。米国では最もポピュラーなAPサーバーのひとつとなっている。
日本でも,前述のように採用するユーザーが増えてきた(表1[拡大表示])。