Oracle Enterprise Manager 10g Database Control

 Database Controlは,Oracle Database 10g用の管理コンソールであり,単体での利用,もしくはGrid Controlから呼び出すことができる。自己管理が可能なOracle Database 10gであるが,DBAによる管理と制御が必要となるケースも存在する。例えば,現在の状況をモニターするなどもこうしたものに含まれる。

 Oracle Enterprise Manager 10gは従来のバージョンで用意されていたJavaアプレットの管理ツールをWebベースに変更し,クライアントに特別なアプリケーションのインストールを不要にした。同時に,Webブラウザという使い慣れた環境により,操作性が向上した。Database Controlは,従来のバージョンと同様に,現在のデータベースの稼働状況やパフォーマンスの確認,チューニング,各種メンテナンスのためのImport/ExportやSQL文の実行,およびバックアップを実行する。従来のバージョンとの機能的な違いは,Oracle Database 10gの自動化の機能と連動していることだ。

 「自己管理フレームワークを搭載する自己診断型データベース」(pp.44~55)のところで紹介したアドバイザの推奨条件を確認し,ウイザード形式で対処を行うためのインタフェースとして機能したり,Server Generated Alertsの警告情報から必要な対処方法を確認したりすることができる。また,自動化にかかわる各種ポリシーの設定やスケジュールの設定を行う機能も用意されている。

 Database Controlは,非常にシンプルであり,大きく分けて4つの画面から構成される(図3[拡大表示])。(1)トップページであるDatabase Control Home Page,(2)Performance Page,(3)Administration Page,そして(4)Maintenance Page――の4つである。これらのページからドリルダウンしていき,詳細のページに遷移して,必要な対処を行う。Server Generated Alertsの警告情報やSQLの改善項目などすぐに対処した方が良い問題は,(1)のHome Pageからすぐに確認することができ,その警告情報をクリックすることでアドバイザの推奨情報を得ることができるなど,基本的には会話形式で操作できる。

 (2)Performance Pageでは,データベースの基盤となるホストのCPU,メモリーおよびディスクI/Oの使用状況を測定する(写真5[拡大表示])。そのほか,待機イベントや最もリソースを消費しているSQL文,データベース・ロックの発生状況などの情報が1つの画面で見ることができる。しかも,時間経過に合わせてグラフ表示され,傾向分析ができたり,他のデータベース・インスタンスとの比較が容易になったりする。

図3●Database Controlの構成画面
図3●Database Controlの構成画面
4つの画面から構成され,それぞれのページをドリルダウンすることで問題を解決していく
写真5●Database Performanceの画面
写真5●Database Performanceの画面
インスタンスおよびサーバー単位でCPUやメモリーの使用率を表示する


Oracle Enterprise Manager 10g Application Server Control

写真6●Control Application Serverのホームページ
写真6●Control Application Serverのホームページ
Oracle Application Server 10gの管理に必要なパフォーマンスなどの状況が表示される

 Application Server Controlは,Oracle Application Serverプラットフォーム全体(J2EE,Portal,WirelessおよびBusiness Intelligence)を管理するための単一のインタフェースである(写真6[拡大表示])。ユーザー・インタフェースは,Oracle9i Application Serverで採用されたOEM Websiteを改善し,Database Controlと同様のコンセプトで実装しなおすなど,その操作性を向上させた。

 Application Server ControlもDatabase Controlと同じように,Home PageからドリルダウンしてJ2EEアプリケーションの問題を診断していく。トップページであるHome Pageに,監視しているApplication Server 10gのステータスやパフォーマンスの状況,リソースの使用状況は応答性能などを一覧表示する(写真7[拡大表示])。事前に定義されているしきい値を超えているかどうかを測定値と常に比較チェックし,測定値がしきい値を超えるとアラートが表示される。

 Application Server Controlを使用すると,(1)アプリケーション・サーバーおよびコンポーネントの起動と停止,(2)アプリケーション・サーバー・コンポーネントの有効化と無効化,(3)サーバー構成の変更,(4)J2EEリソースの作成と構成,(5)J2EEアプリケーションのデプロイと監視,(6)アプリケーション・サーバーのログの調査などの操作を一括して行うことができる(写真8[拡大表示])。

 Oracle Application Server 10gでは,コンソールのOC4J*2管理機能に複数の拡張機能が追加されており,Application Server Controlもそれに対応する。例えば,複数のOC4Jコンテナに渡ってOracle Application Serverのホームに配置されているすべてのアプリケーションを,1つのコンソール・ページに表示することができる。また,Java Messaging Services(JMS)プロバイダやMessage Driven Beanを,Application Server Controlで構成したり管理したりすることが可能になる。そのほか,Application Server Controlには,既存の構成されたデータ・ソースに基づいて新しいデータ・ソースを作成する新機能が追加されている。

 企業全体に分散したOracle Application Serverシステムの情報を自動的に収集し,Oracle Application Serverのパフォーマンス基準の広範な配列が事前に定義されているしきい値を超えていないか自動的に監視する。測定値がこれらのしきい値を超えるとアラートを生成する。

写真7●APサーバーのパフォーマンス管理画面A
示
写真7●APサーバーのパフォーマンス管理画面A
Oracle Application Server 10g全体のパフォーマンスを時系列でグラフ表示する
写真8●APサーバーのパフォーマンス管理画面B
写真8●APサーバーのパフォーマンス管理画面B
Oracle Application Server 10gの各コンポーネントに関するパフォーマンスを一覧表示する

(山本 哲也=日本オラクル マーケティング本部 システム製品マーケティンググループ 担当マネジャー)