NTTコミュニケーションズは今年7月,システム管理体制を刷新した。社内にあるクライアントPCを3種類に標準化したほか,システム管理ソフトやセキュリティ対策ソフトを全面導入。トラブル対応やセキュリティ対策などにかかる手間やコストを大幅に削減するのが狙いだ。
図1●NTTコミュニケーションズが構築したシステム管理体制 2003年7月に社内のクライアント約1万5000台とサーバー200台を一元管理できるようにした。システム管理ソフトやウイルス対策ソフト,ヘルプデスクなどを活用する。これにより,クライアント1台当たり年間約15万円のTCO削減効果が期待できるとしている |
こうしたコストを削減するため,パソコンの標準化に踏み切った。トラブル対応を外部の専門業者に委託したほか,システム管理ソフトやウイルス対策ソフト,侵入検知ソフトを全面的に導入。システム管理業務を集中化するとともに,セキュリティを高めた。この取り組みにより,クライアントPC1台当たりの管理費用を年間約15万円(31%)削減できるとしている(図1[拡大表示])。
同社は今回の取り組みで得たノウハウを基に,2003年10月から企業内のサーバーやクライアントPCの運用管理を請け負うサービス「Managed Office-ITサービス」を提供開始した。
標準化の作業だけで半年以上
標準パソコンは,デスクトップ,ノート・パソコン(A4タイプとB5タイプ)の3機種を用意。希望に応じて,社員にレンタルする方式を採る。OSはWindows 2000 Professional。
2002年9月から標準化を進めることにしたが,この作業は容易ではなかった。各事業部に対し説明会などを開き,部署ごとに必要な台数や構成などを調整していくことになる。「(部署ごとに)いろいろな事情があるので,エンドユーザーにどうしても負担をかけることになる。このプロセスが一番大変で,半年近くかかった」(安藤氏)。
2003年1月からクライアントPCの調達を開始し,6~8月の3カ月で約8000台を入れ替えた。償却期間が残っているその他のパソコンは当面,管理ソフトなどをインストールするだけで対処する。これらについても償却が終わり次第,順次入れ替えていく。
クライアントPCには,システム管理ソフトとして採用したCA Unicenterのエージェント機能のほか,トレンドマイクロのウイルス対策ソフト,米Internet Security Systems(ISS)の侵入検知ソフト「RealSecure」をインストールしてある。CA Unicenterは,ソフト配布や資産管理などに利用する。ウイルスの感染や不正侵入を検知した場合は,24時間体制で監視している自社のセンターに自動的に報告される仕組みになっている。
遠隔操作でトラブルを解決
トラブル対応は,イーディーエス・ジャパン・エルエルシー(EDS Japan)のヘルプデスク・サービスを利用する。ユーザーはまず,ヘルプデスク用のWebサイトで解決策を調べる。自力で解決できない場合は,ヘルプデスクに電話で問い合わせる。口頭で解決できない場合は,CA Unicenterのリモート・コントロール機能を使い,ヘルプデスク担当者がユーザーのパソコンを遠隔から操作して対処する。
リモート・コントロールでも解決できない場合は担当者が出張し,OSを再インストールするといった対策を施す。ハードウエアが故障した場合は,パソコンを入れ替えることで対処する。ただし,こうした手順で対処できるのは標準PCだけになる。
パッチの配布は3方式を併用
修正モジュールの配布には,基本的にMicrosoft Software Update Services(MSUS)を利用する。ただし,Service Packの場合は, CA Unicenterのソフト配布機能を利用する。MSUSを利用しても適用できるが,Service Packの適用機能は「まだ追加されたばかりなのでしばらく様子を見てから利用する」(安藤氏)としている。
このほか,緊急を要する場合はWindowsのログオン・スクリプトを利用してパッチを適用させることもある。実際,「BlasterワームのときはMSUSで配布していたのでは間に合わないと考えたので,ログオン・スクリプトで修正モジュールのインストール・プログラムを起動させた」(安藤氏)。