(David Chernicoff)

 ユーザー・データを常にバックアップすることは,どこのIT担当者にとっても永遠の課題だ。最近は,ローカルのハードディスクの容量が幾何級数的に増大し,そうしたドライブ上に存在するビジネス・データの量も急増している。それにつれて,定期的なバックアップの方針を確立することが以前に増して重要になっている。

 データ保護システム向けに資金や資材がない小規模オフィスにとって,最適で定期的なバックアップは,非常に大切なことである。小規模企業は,ビジネス・データをバックアップし続けるために,必要なハードウエアやソフトウエアや人的資源に金をかけないほうを選ぶ。

インターネット経由でどこでもバックアップ
 最近発表されたVerioの製品は,このバックアップの問題に直面している小さな会社に特に適している(該当サイト)。同社は,「Remote Backup」という製品を出荷開始した。これは信頼性のあるインターネット接続を持つネットワーク上にあるサーバーとクライアント向けのリモート・バックアップを低コストで提供するサービスである。

 Remote Backupの顧客は,月100ドルでサーバーでもワークステーションでも,そのコンピュータの役割には関係なく5台までのコンピュータをバックアップできて,使える記憶容量も10Gバイトまである。バックアップされるコンピュータ側には小さなクライアント・アプリケーションをインストールする必要がある。それはWindowsシステム上でシステム・トレイ内のアイコンになる。また同サービスは,Red Hat Linux,hp-ux,Solaris,AIXもサポートする。

 インストール後は,同サービスにバックアップしたいディレクトリを選択する。クライアント・アプリケーションは同サービスのWebポータルにもアクセスできるようになっており,あなたが最近実施したバックアップ操作を画面で確かめられる(最近10回分のバックアップ作業が確認できる)。クライアント・アプリケーションとポータル・ページを使って,Remote Backup経由でバックアップされたデータを元に戻すこともできる。

毎日の差分は100Mバイト程度だろう
 一度ファイルをバックアップした後,そのファイルが変更されたときだけバックアップする。Verioはバックアップ・データの約1%だけが更新されるだろうと見ている。つまり10Gバイトのファイル群をバックアップした場合,その後は毎日100Mバイトのデータしか転送しないだろう,ということだ。Remote Backupのサービス・レベル保証契約(SLA)では,日次バックアップを保証している。Verioはバックアップをスケジュールする時間帯として,午後5時から午後9時まで,または午前1時から午前5時までの2つを提供する。ご想像の通り,利用可能な時間帯にRemote Backupが必要なデータを移せるようにする十分高速なインターネット接続が必要である。

 Remote Backupサービスは場所を問わない。このことは移動する営業部隊や時たま接続するユーザーを抱えている現場にとってこのサービスを特に魅力的に見せるに違いない。コンピュータの電源が入っていて,アクティブなインターネット接続がある限り,ユーザーは重要なデータを毎晩バックアップできる。重大なデータをなくしてパニックを起こしている移動中のユーザーから電話で呼び出されるIT担当社員にとっては確かに魅力的な提案だ。

 私はVerio以外にも低コストのリモート・バックアップ・サービスを長期間にわたり提供する会社が登場すると思っている。Verioやそのほかのベンダーが,今後どのように追加のリモート・ストレージの提供サービスを展開するか,見守っていくのはきっと面白いだろう。バンド幅のコストが下がり続けるにつれ, Remote Backupのようなオフサイトでのバックアップとストレージのソリューションは,小規模企業のユーザーに費用対効果の高い手段を提供する。