(Mark Smith)

 最近米国西部で起きた森林火災の際,カリフォルニア州とコロラド州の在宅で作業する従業員や,小さな会社では,次のような問題に直面した。

 「私は30分で私の家(仕事場)から避難しなくちゃいけない。さて何を持っていくべきだろう?」。個人の場合は,アルバムと重要書類を持っていった。そして,中小企業の場合は,書類と一番最近バックアップしたデータを回収した。こういう重大な時こそ,バックアップ・システムの力と,いざというときの準備を実感するものだ。

 筆者のいるここコロラドでも,16歳になる私の息子の友人が,自宅から退避を余儀なくされ,われわれと一緒に夜を過ごした。私が彼に「30分間でしたこと」について質問をしたところ,彼はこう答えた。「僕は自分のMaxtorの外付けドライブと,スケートボードと,何着かの服をつかんで出てきました。5分で済みましたよ」。私の息子の友人は,なんでもデジタルで記録している。音楽,画像,重要な文書,アプリケーション,データ,なんでもだ。自分のデータを救うために必要なのは,FireWire(IEEE-1394)接続の外部ストレージ装置を持っていくことだけだった。

SOHO,中小企業のストレージは
ハードディスクが主流に

 最近,『Windows & .NET Magazine』の発行元である米Penton Mediaは,在宅従業員すべてに,外部ストレージ装置とUSBストレージ装置を支給し始めた。外部ストレージ装置は160Gバイトの記憶容量と,プッシュ・ボタン式のバックアップ機能を備えている。また,USBストレージ装置は,128Mバイトの記憶容量を備え,従業員の出張などで,ノートPC間で高速にバックアップしたり,簡単にファイルが転送できるようにするためである。

 このようなSOHO(スモール・オフィス/ホーム・オフィス)向けのバックアップ装置は家庭だけでなく,中小企業にも急速に普及しつつある。最近私は「Windows Small Business Server(SBS)2003」のグループ・プログラム・マネージャであるKaty Hunter氏と話をした。Hunter氏によると,多くのSBSユーザーはデータのスナップショットをとり,テープやディスクにバックアップするビルトインのバックアップ・サーバーを使っているという。「私たちのパートナの多くは,バックアップ用としてテープの代わりにディスクを装備している。そうすることで中小のユーザーはテープを交換する面倒にかかわらなくて済む」とHunter氏は語った。

 例えば,USB 2.0とFireWireインターフェースの2つを備えている250Gバイトの外付けハード・ドライブ「Maxtor Personal Storage 5000XT」の値段を,http://www.bestbuy.com/で調べたところ,送料無料で299.99ドルだった。このドライブは,中小企業向けには十分以上のバックアップ・ストレージを提供するもので,不意のバックアップと簡単なリストア用に利用できる。

完璧な保護を望むなら
オンライン・バックアップの利用を

 それ以上の保護を望むなら,オンラインのバックアップ・サービスを利用するとよい。こうしたサービスを使うには,あなたのサーバーやワークステーションに事前にソフトウエアをインストールして,重要なデータを定期的にバックアップするよう,システムを設定する必要がある。普通こうしたサービスはバックアップの必要があるデータを判断して,それを圧縮・暗号化し,インターネット経由でサービス側の保護されたデータ・センターに送信する。

 現在では,こうしたオンライン・バックアップのため,いくつかのサービスが利用できる。先日私は米Intuitの「QuickBooksバックアップ・サービス」を使う契約をした。Intuitは米Connectedのオンライン・バックアップ・エンジンを使っており,それをQuickBooksのデータ・ファイルをバックアップするように特別に設定している。理論的には私のコンピュータが火災で破壊されたとしても,新しいバージョンのQuickBooksをインストールして,Connectedのデータセンターから直接データを復元できるはずである。

 米US Data Trustなどのサービス・プロバイダは,小規模から中規模の会社向けに,バックアップとリストアのサービスを提供するため,「LiveVault」エンジンを使っている。LiveVaultとは,顧客のデータをIron Mountainという設備に記録するもので,その技術はSBSが提供するWindows Server 2003やExchange Server,SQL Serverなどとうまく協調できる。LiveVaultに関する詳細な情報は,「LiveVault's Online Backup Service」(該当サイト)を参照してもらいたい。

 オンライン・サービスのコストは,あなたがバックアップを取りたいと思うデータ量によって変わる。米Data Protection Servicesは,2Gバイト当たり月80ドルを課金する。また,米@Backupは,2Gバイト当たり月83ドルを課金する。US Data Trustの料金は,5Gバイト当たり月166ドルで,オフサイト・バックアップの追加保護については追加料金を支払うことになる。

 私はあなたが「30分で避難する」ような判断を求められる事態に会わずに済むよう願っている。しかし,もしそうすることになっても,バックアップ・システムを持っていれば,自分のデータを守るのに悩む必要はなくなるだろう。