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図2●ExBPAの起動

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図3●ExBPAのベスト・プラクティスの自動更新

最初にWebサイトから定義情報を入手
 では実際にインストールしてみよう。ダウンロードしたファイルは2Mバイト程度で小さい(該当サイト)。これは自己解凍形式の圧縮ファイルで,解凍すると拡張子MSIのファイルになる。これを実行するすればインストールできる。空き容量は10Mバイトが必要だ。

 ExBPAを起動するには,スタート・メニューの[Microsoft Exchange]-[Best Practices Analyzer Tool]から選択して実行する(図2)。すると,Microsoftのサイトにアクセスし,最新のベスト・プラクティス情報がないかどうかを探し,新しいものがあればダウンロードしてルールに反映させる(図3)。



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図4●ExBPAの初期画面

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図5●[Active Directoryに接続]画面でExchangeサーバーの構成情報にアクセスするために必要な情報を設定

Active DirectoryとExchange Serverのアカウントが必要
 次にExBPAのメイン画面で,診断対象となるExchangeサーバーやActive Directoryを指定する(図4)。左ペインの中の[ようこそ]を選び,右ペインの中の[Active Directoryに接続する]を選択する。

 [Active Directoryに接続]というタイトル画面に切り替わる(図5)。ここで利用するActive Directoryのドメイン・コントローラやExchangeサーバーにアクセスするためのアカウント情報を入力する。

 最初にこの画面を表示させた時はActive Directoryサーバー名を指定する部分だけが表示される。その下段にある[ログインの詳細オプションを表示する]をクリックすると,画面下にExchangeサーバーへアクセスするために使うアカウント情報を細かく設定できる画面になる(図5)。ExBPAをインストールしたパソコンが,普段使っている管理用マシンで,ログオンする際にExchangeサーバーに対する管理権限のあるアカウントを使っているなら,ここでは特に設定しなくてもよい。

 アカウント情報を確認した後で画面の[Active Directoryサーバーに接続する]をクリックすると,Active Directoryに問い合わせをかけ,ネットワーク上のExchangeサーバーとその構成情報を収集する。



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図6●[新しいExchangeスキャンの開始]でスキャン対象を選択

スキャンする対象を細かく選択できる
 Active Directoryへの問い合わせが済むと,[新しいExchangeスキャンの開始]という画面になる(図6)。ここで,ExBPAがチェックする対象(サーバーと組織)を選べる。デフォルトでは,すべてのサーバーと組織にチェックが入っている。

 [実行するスキャンの種類]の項目では,[状況の確認]を選んでおけばよい。このほかにサーバーに接続できるかどうかだけをテストするモードも選べる。[ベースライン]の項目では,これは1台のExchangeサーバーの設定情報を基にして,ほかのサーバーの設定に違いがないかどうかを調べるためのものだ。利用する場合はサーバー名を指定する。

 [推定時間の計算に使用するネットワーク速度]の項目は,対象のExchangeサーバーとの間にある最も遅い回線の速度を入力する。これはExBPAがExchangeサーバーに問い合わせをする際のタイムアウト待ち時間を計算するためのものだ。[スキャンを開始する]をクリックすると,ExBPAはこれまでの指示に従って,Exchangeサーバーから設定情報を収集し始める。

 実稼働しているシステムで,一見負荷の高そうなチェックを走らせるのには抵抗があるかもしれない。しかし,EXBPAはネットワークやサーバーにできるだけ負荷をかけないように考慮されている。マイクロソフトによれば,1サーバー当たりの問い合わせにかける時間は30秒から2分程度であり,収集するデータも500K~2Mバイトだという。



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図7●[表示するベスト・プラクティスレポート]で表示したい結果を指定する

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図8●重要度をアイコンで区別して表示する[ベストプラクティスレポートの表示]

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図9●問題の詳細な解説と対策も表示する

問題点と対策を分かりやすく表示
 収集し終わると,過去に実行した結果を一覧表示する画面に切り替わる(図7)。ここで最新のレポートを選ぶと,3つ選択肢が表示される。

 [エクスポート レポート]を選択すると結果をHTMLファイルとして出力できる。人に診断結果を見せるときなどに有効だ。

 [このレポートを表示する]を選択すると,レポートの中身である[ベスト プラクティス レポートの表示]画面が表示される(図8)。デフォルトでは[問題点の全リスト]が表示されており,問題の重要性を示すアイコン(「Error」「Warnings」「Information」など内容によって変わる)とともに概要が表示されている。各項目をクリックすると,さらに詳しいヘルプと対策を表示する(図9)。残念ながら現在の日本語版では一部の翻訳が間に合っておらず,英文のまま表示されることもある。マイクロソフトは順次日本語化を進めるとしており,いずれベスト・プラクティス情報の更新時に差し替えられるはずだ。

 問題や警告として表示されたチェック・ポイントは,問題として表示しないように設定したり,次回はチェックしないように設定したりできる。何か必要があって意図的にベスト・プラクティスから外れた設定をしている場合には,ここでチェック対象から外せばよいわけだ。

設定の修正は管理者の仕事
 こうして収集した情報とベスト・プラクティスを照合することで,一般的な設定ミスや,不具合を起こしそうな部分をチェック・リストにする。システム管理者が忙しいのはむしろその後だろう。提案している設定に変更して,トラブル解決を進めていく。

 設定からスキャンまでの操作には特に難しい点はない。不満があるとすれば設定の修正まではやってくれないことだ。この点は,「Systems Management Server(SMS)」などのツールを使うことになるだろう。

 マイクロソフトは2005年前半にExBPAのバージョン2.0を出す予定である。「Microsoft Operation Manager(MOM)2005」との統合を計画しているので,単体で動作するバージョンに加えて,MOM用追加パッケージ(マネジメント・パック)も提供する予定だ。