(Mark Joseph Edwards)

 ここ数年で無線LANが広く普及した。いくつかの市や町では,無償のインターネット・アクセスさえ提供している。あなたがとんでもないへき地に住まない限りは,近くに1つ以上の家庭内無線LANにアクセスできる可能性がある。さらに,そういう無線LANの多くは暗号化されてなくて,持ち主の許可なしに誰でも接続できる可能性が高い。そして,いつも決まって遅かれ早かれ,誰かがそうするのだ。

モバイルを容易にした無線LAN
 無線LANの普及により,ありとあらゆる形態でモバイル・コンピューティングを使えるようになって非常に魅力的なチャンスが到来した。例えば,多くの喫茶店は無償の無線LANアクセスを提供しているし,図書館やレストランも同様である。だから,あなたが街中で仕事をする在宅勤務者だったり,電子メールをチェックしたいと思ったり,自宅へ戻らずにちょっとWebサーフィンしたいと思ったら,無数にある公衆無線LANを使える。

 暗号化されていないオープンな無線LANが提供する使いやすさには,問題もある。いつの時代でも何人かの人は,公開されていなくて,オープンになっている無線LANを使わずにはいられないのだ。無防備な無線LANを探して街中を車で走り回る「Wardriving」が,犯罪的行為になりかねないご時世である。結局のところ,ネットワークの無許可利用は今日多くの場所では犯罪になる。つまり無線LANを見つけてそれを使うことに決めたら,罪を犯していることになるかもしれないのだ。

他人の無線LANを使い逮捕
 2005年7月に,今後増加が予想される逮捕例がフロリダであった。ある男性が自宅のそばで,車中からノートPCを使っている男を発見した。家の中にいる男性は,明らかにオープンな無線LANを設置しており,車の中にいた男は許可なくその無線LANに接続して,何かの目的のためにそれを使っていたのだ。結局,その家の所有者は警察に連絡し,警察は車の中の男性を逮捕して起訴した。逮捕された彼は今,刑事事件に直面するはめになっている。

 男が他人のネットワークを非合法に使ったやり方は当惑させるものだ。私が正確に理解しているとすれば,この事件はSt. Petersburgで起きたのだが,ここはフロリダで4番目に大きく人口25万人近くの都市である。確かに無償で公開の無線LANアクセスを提供している場所はたくさんあるに違いないが,なぜその男は,他人のネットワークに侵入することを選んだのだろうか。私には分からないが,この事件はいくつか気になる疑問を生じさせる。

会社の責任に波及する可能性も
 もしこの男が,自分の会社が提供したコンピュータを使っていたらどうなっただろうか。あるいは,もし彼が自分の会社のメール・サーバー上にあるメールをチェックしていたらどうなっただろうか。もしそうだったら,その会社はその男の行動に責任があることになるのだろうか。

 そうでないとしても,この事件は無線LAN機器を自社の従業員に提供している会社は,そういう機器に認められる使い方を明記するポリシーを作ることを考えなければならない。そういうポリシーがなければ,企業は従業員が会社の装備を間違って使った場合に起こり得る法的問題にさらされることになる。