(Mark Joseph Edwards)

 コンピュータをアップグレードする際に,大抵の場合,交換されるコンポーネントはハードディスクだ。ユーザーは領域を使い切っており,より大きなディスクが必要になる。既存のディスクがちょっと古くて多分小さめの容量しかない場合は特にそうである。

 ディスクやシステム全体の交換は普通に行われているが,リサイクルや再販業者に回す際に古いディスクをきれいに掃除しているのかどうか,私は疑問に思っている。もしディスクを掃除しているとしても,それらが復活できないことを確認しているだろうか?

FDISKだけではダメなのはいまや常識
 何人かの人は,単にFdiskを使ってパーティションを破壊すれば,データの削除法としては十分だと思っているかもしれない。つまりパーティションがなくなっていればだれもデータを復活できないと思うのは間違いだ。Fdiskはパーティション・テーブルを変更するだけで,ドライブ上のほかのセクター情報には手を出さない。だからそれらのセクター上にあるユーザーが記録したデータはそのまま残っており,ちょっと知識がある人ならそのデータを復活させられるのだ。

ATMで使われていたハードディスクが中古ショップに
 Simson Garfinkel氏はほぼ1年前,CSO Magazineに「ハードディスクのリスク(Hard Disk Risk)」という記事を書いた(該当サイト)。その記事の中で Garfinkel氏は,中古のショップで古いハードディスクを購入した際の冒険と,それらのディスク上で見つけたデータについて語っている。1台のドライブは以前にATM(現金自動預け払い機)で使われていたもので,1年分の取引の記録が入っていた。他のドライブには5000件以上のクレジット・カード番号が入っていた。さらにもう1台別のドライブにはある人の機密性の高い個人情報が入っていた。Garfinkel氏が購入したドライブのうち適切にデータを削除してあったものは,ほんの10%に過ぎないという。

 ディスクをきれいに掃除するには,いくつかのやり方でドライブ上のすべてのセクターに上書きする必要がある。ディスク消去用のツールは,データの復活に使えるような磁界が確実にほとんど残らないように磁力線(データを記録するために使う)を劇的に変化させて各セクターを何度も上書きできる。自分には十分と思うなら,必要に応じて1度の上書き作業をするだけでも構わない。

 Garfinkel氏は面白い質問をしている。「もしあなたが再販業者や別の組織に古いハードウエアを渡す場合,先方があなたのデータを十分に削除すると考えているか?」というものだ。自分の手の届かないところに自分のドライブを渡す前に,その中身を削除することを考えたほうがいいだろう。その作業をうまくやるには,オンライン・ソフトの「Autoclave」(該当サイト)やLSoft Technologiesの「Active@KillDisk」(該当サイト),Stellar Information Systemsの「Stellar Wipe Safe Data Eraser」(該当サイト),Heidi Computersの「Eraser」(該当サイト)などの,ディスク・ベースのデータを破壊するために設計されたツールを使うとよい。

 あなたの古いドライブからデータを復活させる方法や,それらを阻止するディスク掃除の技術といった理論的なことにも興味があるなら,この話題に関するPeter Gutmann氏の包括的な記事を必ず読むべきだ(該当サイト)。