■WinHEC 2004は,Longhornにフォーカスしたものになった(既報)。ここでは参加者に配布された次期Windows「Longhorn」(開発コード名)の「ビルド4074」と,会場でデモされた「プロトタイプ」の画面ギャラリをお届けする。
■タブレットPCやノートPCに追加される補助ディスプレイ,ほかにもカラー・マネジメント機能やアドレス帳機能の強化などを紹介する。
(Paul Thurrott)

 今年開催された「Windows Hardware Engineering Conference(WinHEC)2004」は,将来のLonghorn時代のユーザー・インターフェースやテクノロジ,革新などを数多く垣間見せてくれた。実にエキサイティングなもので,Windowsの将来について前例のない見ものを提供した。ここではWinHECで紹介されたLonghornの画像を紹介しよう。


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図1●Longhornマシンの補助ディスプレイ

タブレットPCとノートPCの上ぶた表面に
補助ディスプレイが追加される

 Microsoftによると,補助ディスプレイは2005年か2006年に,タブレットPCやノートPCに搭載され始めるという(図1)。この便利な機能は,ノートPCのふたを閉じていたり,電源を切ったりしている間でも,(1)個人情報管理(PIM)ソフトの情報,(2)時刻,(3)電池の寿命,(4)DVDや音楽のようなマルチメディア機能――などにユーザーがすぐアクセスできるようにする。違う大きさと品質のディスプレイに対応するし,モノクロでもカラーでも使える。

 Microsoftのハードウエア・パートナは,実際のディスプレイを作り,それらを自社の製品群に組み込むことになる。一方,Microsoftは,それを働かすソフトウエアを提供する予定だ。


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図2●Longhornのカラー・マネジメント機能

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図3●「Contacts」ライブラリの画面

Avalonのカラー・マネジメント機能は
プリンタ/スキャナ/デジカメなどの間で調整をとる

 Longhornは,「Avalon」というプレゼンテーション・レイヤーの一部に「Windows Color System(WCS)」というコンポーネントを備えている(図2)。これにより,Longhorn搭載PCとプリンタ,スキャナ,カメラなどの間で色情報を調整する。Longhornは,マネージ・コード・プラグインのアーキテクチャになっており,双方向通信によってデバイスを制御する。

 Longhornは,現在の「Windows XP Media Center Edition 2004」にあるビジュアルなビデオの色較正ウィザードを基にした較正ウィザードも搭載する予定だ。

アドレス帳がOSの基本機能になり
同期機能や履歴機能が充実する

 Windowsは,現在「Windows Address Book」(アドレス帳)という統合コンタクト管理アプリケーションを持っている。Longhornでは,新たに「Contacts」ライブラリが後を引き継ぐ(図3)。

 さらにそれは,Office製品のOutlookの代わりに採用されるだけでなく,サード・パーティ製品にも使われるだろう。Microsoftは,Longhornに実装するContactsライブラリについて重要な計画を立てている。

 そうした構想は,Longhornのビルド4074では一部しか分からないが,最終的には,Contactsを携帯電話のような携帯機器につなぎ,Longhorn SyncManagerをベースにして同期を取る。SyncManagerは,ピア・ツー・ピアのコラボレーションやファイル共有のために,近くのコンタクト先と接続できるようになっている。数多く出ているサード・パーティ製ソフトは不要になる。


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図4●「Windows Mobility Center」の画面

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図5●タブレットPCの「Pen Optimized Skin」

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図6●サイドバーが飛び出す電源管理画面(プロトタイプとビルド4074の比較)

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図7●MSとHPが共同で開発しているTroy PCでは電話機能が融合している

 もっと面白い部品の1つに「Communications Historyビュー」がある。それはすべての電話,電子メール,インスタント・メッセージング,ピア・ツー・ピアなど,あなたが連絡を取った相手を時間順に詳しく表示する。Communications Historyビューは「日付」「重要度」「メッセージ・タイプ」などの条件でソートできる。

姿を見せた「Mobility Center」
 「Mobility Center」は,Longhorn時代のモバイル・コンピュータ用「Windows Activity Center」(該当サイト)というコンセプトを実現するものである(図4)。それはあなたが場所を移動するときに必要な内容すべてを備えている。Activityプロファイルには,「Activity Setting」という項目があって,「会議への出席」とか「プレゼンテーション」といったMobilityプロファイルにワンクリックでアクセスできるようにする。

Longhorn時代のタブレットPC向け「Pen Optimized Skin」
 「Pen Optimized Skin」は,一番上にあるPIM画面である(図5)。より小さく,より個人向けになった次世代のタブレットPCに搭載される。このようなタブレットPCは,普通5~8インチの画面を備えるだろう。今日のタブレットPCの画面は,10~15インチである。

 Pen Optimized Skinは,情報を作リ出すことよりも,情報を読み使うことに重点を置いて設計されている。そのため,あなたが最近した仕事の情報を「最近の電子メール」「予定されたイベント」「To Doリスト」「文書」――などと一緒に自由な形で表示するビューを備える。

電源管理用のサイドバーが飛び出す
 Longhornは,モバイル・コンピュータ向けに,強化された電源管理機能も備える予定だ(図6)。オプションでパワー・メーターがサイドバーとして飛び出す(fly-out)。

 Longhornの電源管理機能は,今日Windows XPで使えるものより,大ざっぱな感じになるだろう。ただし,このシステムは好みに応じて,裏で不要なデバイスを自動的に切れる。現在は使えないが,サイドバーが飛び出すことで,重要な情報,例えばあなたのシステムは何時間でフル充電になるかといったことを表示できるようになる。

Longhornと「Troy」のコンセプトPCによる電話の統合
 2002年後半にMicrosoftとHewlett-Packard(HP)は共同で,製品開発戦略をスタートさせた。これは将来のハードウエア・トレンドと,Microsoftの将来のソフトウエアを密着させるためのものだ。

 この作業の最初の成果は,2003年のWinHEC 2003で出展されたAthens(アテネ)PCのプロトタイプである。それは将来のシステムが,電話のようなオフィス技術にどうやって融合できるかを示した。HPは2003年後半にも,Athens PCの新しいプロトタイプを展示した。それは,実際に出荷されていたHPのPCと,そのハードウエアではカバーできないものを制御するブレークアウト・ボックスを使っていた。

 WinHEC 2004でMicrosoftとHPは,Athensのアップデート版である「Troy PC」のプロトタイプを引っさげて戻ってきた。今回もHPの既存製品とブレークアウト・ボックスを使っている。新しいところは,LonghornのAeroユーザー・エクスペリエンスを備えていたことだろう(図7)。


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図8●「ビルド4074」のインストール画面と新しいユーザー・インターフェースの画面