Windows Longhornへの道 今分かっているすべて 続き

3つの表示モードを持つAvalon
 様々なシステムの能力差に対応するために,Microsoftは3層のユーザー・エクスペリメンス・モデルに取り組んでいる。最も単純なモードでは,LonghornはクラシックなWindows表示を完備したWindows 2000をエミュレートする。このモードは,単に互換性のためだけで用意されるものだ。新しいAeroユーザー・インターフェースに関して,従業員を再訓練することを望まない企業にとっては,多分このモードが役に立つ。

 他の2つの層は,現在「Tier 1ユーザー・エクスペリエンス」および「Tier 2ユーザー・エクスペリエンス」と呼ばれている(Hammil氏は,それらの名前は恐らく変わるだろうという)。「Longhornのユーザー体験は完全に新しく,Windows XPや前のいかなるWindowsバージョンとも異なっている」という。詳細は,10月のPDCで見られる(既報パート1既報パート2)

 Tier 1は,完全なLonghornユーザー・インターフェースの簡易版だ。DCEは完全には使わない。いずれにしても,Tier 1はハードウエア・アクセラレータによるグラフィックスを使って,高密度スケーリングをサポートし,“透明度グラフィックス効果”を提供する。

 Tier 2は,Tier 1のスーパーセットである。強力なハードウエアを使って,「目のさめるようなユーザー・インタフェース」,新しいAPIセットを通してLonghorn仕様のアプリケーションが利用できる。「Tier 2は,Tier 1には見当たらないデスクトップ品質の機能が含まれる」。

 Longhornのグラフィックス機能は,2005年にはデスクトップ,ノートとタブレットを含むすべてのタイプのPCで利用できる。Tier 2は,明らかに,リソース集約型でグラフィック主導である。AC電源に接続していないとバッテリー寿命とパフォーマンスを損なう。このために,Microsoftはポータブル・マシンが電源駆動のときは,Tier 1にすることを考えている。しかし,ユーザーがバッテリ駆動でも,その稼働時間にこだわらなければ,いつでもTier 1に切り替えられる。

 DCEの最も重要な問題の1つは,安定性である。Longhornバージョンは以前のWindows版よりグラフィックスに依存するので,Longhornは署名のない不安定なデバイス・ドライバをサポートしない。あなたが,署名のないデバイス・ドライバをLonghornにインストールしようとすると,表示モードがTier 1へ戻ってしまう。


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図4●風に揺れるカーテンのようなウインドウ

風に揺れるウインドウをデモ 動きによって見やすくなる
 DCEは,劇的にデスクトップのビジュアル品質を改善する。Hammil氏のデモは,様々な方法でインターネットで公表された。私は他で情報交換しなかったこれらのデモの背景を解説しよう。

 ウインドウ遷移効果のデモでは,ウインドウが視覚的にそよ風に揺れているカーテンのようなところがあった(図4)。それによってHammil氏は,いかにウインドウが任意にアニメーションできるかを見せた。この効果自体は,恐らくLonghornには収録されないだろうが,Microsoftはどの効果を最終製品に含めるか決定するため,様々なシェル・アニメーション効果を試すだろう。


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図5●ぐるぐる回転するメモ帳にテキストを入力

 私たちが,DCEのおかげで見られるものは,「ジャギーのない丸みを帯びた非標準形のウインドウ」「ウインドウのなめらかな影」「ウインドウが素早く動いたり,最小化されているときに現れる動きのにじみ(モーション・ブラー)」――などである。

 Longhornのウインドウのすべてがベクトル・アニメーションに変わって,スクリーン上で別々に回転するという興味深い効果を見せた(図5)。Hammil氏は回転する[メモ帳]の画面にテキストを入力しながら,「これはおふざけの効果で,実用的なWindowsの使用法ではありません。ウインドウがぐるぐる動かされて,移動するビジュアルを提供することで,私たちは,ユーザーにより多くのヒントを与えたいのです」といった。