対策は営業所にDHCPサーバーを設置し
IPアドレスを効率的に配布すること 先に述べたように,Windows NT Server 4.0やWindows 2000 Server,Windows Server 2003はDHCPサーバーとして機能させることができる。それにはまず,DHCPサーバー・サービスを図6のようにインストールしなければならない。 サービスのインストールが終わったら,管理ツールを起動して,1つ以上の「スコープ」を作成する。スコープではクライアントに割り当てるIPアドレスの範囲と,その有効期限(リース期間)を決定する。またスコープ・オプションとして,デフォルト・ゲートウエイなど,IPアドレスと同時に割り当てるネットワーク関連の設定をスコープごと,またはDHCPサーバーの既定値として指定可能である(図7)。 ここで注意してもらいたいのは,スコープにおけるIPアドレスの範囲とそのリース期間である。 まず,IPアドレスの範囲は既存のサーバー・コンピュータやネットワーク機器で使用しているものと重複してはならない。重複した場合は,同じIPアドレスのマシンが複数できることになり,前回説明したように双方の機器でネットワークを利用できなくなる。 もしスコープの範囲内に常時稼働しているサーバーのIPアドレスを含ませる場合は,スコープから「除外」という設定をすることで,そのIPアドレスがDHCPサーバーによりDHCPクライアントに配布されないようにする。 また,同じネットワークに複数のDHCPサーバーを安易に設置してはならない。複数設置する場合にはお互いのスコープで指定するIPアドレスの範囲が重複しないようにするなどが不可欠だ。DHCPサーバーを稼働させるときには,ネットワーク管理者に必ず相談して既に稼働しているDHCPサーバーがないか調べよう。 ただし,お互いのスコープで指定するIPアドレスの範囲をうまく設定すれば,1台のDHCPサーバーに障害が発生しても他のDHCPサーバーでIPアドレスの配布を続けたり,DHCPサーバーの負荷分散を図ったりできる。PCの台数が数百台に及ぶ大規模なネットワークでは複数のDHCPサーバーの設置を検討した方がよいだろう。 配布されたIPアドレスがそのクライアントで有効となるリース期間は,ネットワークの利用状況によって変更しよう。例えば研修所などのように,ネットワーク上に設置しているパソコンが他のネットワークに移動することがほとんどない環境であれば,リース期間は標準の設定かあるいはもう少し長めに設定しても全く問題がない。 しかし,出先で使うノート・パソコンを一時的にネットワークに接続する機会が多いなど,コンピュータの入れ替えが頻繁に発生するネットワーク環境では,リース期間を短くする。 一般的にリース期間中,IPアドレスが配布されたパソコンは電源を落としてもIPアドレスを解放することがない。そのため,DHCPサーバーはリース期間が終了するまで他のクライアントに対してそのアドレスを貸し出すことができず,実際にはネットワークに存在しないパソコンのために無駄にIPアドレスを確保しなければならなくなる。 それでは,IPアドレスが配布されたパソコンは,そのリース期間が終わるとネットワークを利用できなくなってしまうのであろうか。答えはそうではない。Windows系のOSの場合はリース期間の半分が過ぎると,DHCPサーバーに対してIPアドレスの継続利用を要求する。要求を受けたDHCPサーバーが再度IPアドレスを配布し直すことで,リース期間が延長される。また,パソコン側からDHCPサーバーに対して現在利用しているIPアドレスの解放を要求することもできる。しかし先ほど説明したように,通常電源を切っただけでは解放は行われず,ユーザーが明示的に動作させない限り解放されることはほとんどない。 |
Windowsネットワークに強くなる(第2回) おかしなIPアドレスが割り当てられる p3
IPアドレスの自動取得機能が原因
必要ならDHCPサーバーを稼働
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