初歩から理解するActive Directory (第8回=最終回) 続き


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図4●GPOのプロパティ画面の[WMIフィルタ]タブで設定する。[参照/管理]ボタンをクリックすると,WMI編集画面が現れる
(クリックするとすべての設定画面の流れを見られます)

GPOの適用先を絞り込むWMIフィルタ
 Windows 2000では,GPOのセキュリティ設定(ACL:アクセス・コントロール・リスト)を修正することで,特定のグループに対してグループ・ポリシーの適用を優先させたり,逆に除外したりできた。Windows Server 2003では,それに加えて「WMIフィルタ」という機能が追加された。これはもっと細かい条件で,例外を設けたいときに利用する。

 WMI(ウインドウズ・マネージメント・インストゥルメンテーション)は,Windowsマシンをリモート管理するための,インターフェースを既定したもの。WMIではSQLライクな照会言語を使うことで,クライアントOSの種類やバージョン,ディスクの空き容量,物理メモリー容量などを把握できる。その結果をもとにGPOの適用対象を絞り込む(フィルタする)のが,WMIフィルタである(図4)。

 WMIフィルタの利用法の概略は,GPOのプロパティ画面で[WMIフィルタ]タブに切り替え(図4-1),[参照/管理]ボタンをクリックする。すると[WMIフィルタの管理]という画面が現れる。ここでクエリーを記述すれば,照会結果をもとにどのようなフィルタをかけるかを定義できる(図4-2)。


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図5●GPMCの画面。グループ・ポリシーに関する様々な設定をここで行える

新ツールGPMCはグループ・ポリシーの操作を劇的に変える
 Windows Server 2003の出荷と同時期に「グループ・ポリシー管理コンソール(GPMC)」が公開された。GPMCは,グループ・ポリシーの作成/削除/リンク/複製などを支援する無償アドオン・ツールである(図5)。GPMCを使うと,[Active Directoryユーザーとコンピュータ]のような他の管理ツールを開くことなく,GPOの作成とリンクをGPMCという単一のツールの中で行える。

 GPMCをインストールすると,グループ・ポリシーに関する設定作業が一変する。[Active Directoryユーザーとコンピュータ]や[Active Directoryサイトとサービス]にあるOUなどのプロパティ画面から設定することはない。[グループポリシー]タブは残るが,そこにはGPMCへのリンク・ボタンがあるだけである。

 ここではGPMCの使い方の詳細は,触れない。Windows Server System Reviewの記事「グループ・ポリシー管理コンソール(GPMC)の使い勝手を試す」を参照してもらいたい。

RSoPでグループ・ポリシーの状況を把握する
 グループ・ポリシーを追加するのは簡単だが,現状のグループ・ポリシーがどのような設定値になっているのかを調べるのは,これまで意外に難しかった。

 そこで,Windows Server 2003から「グループ・ポリシーの結果セット(RSoP:Resultant Set of Policy)」という機能が導入された。RSoPには計画モードとログ・モードの2種類がある。計画モードは,GPOを適用する前のシミュレーションを行うモードで,ログ・モードはGPOの適用結果をレポートするモードである。

 RSoPは,[Active Directoryユーザーとコンピュータ]から起動する方法(ただし計画モードのみ)や,GPMCを使う方法,あるいはMMCスナップインとして追加する方法など,いくつか存在する。