初歩から理解するActive Directory (第8回=最終回) 続き


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図6●ポリシーの結果セット(RSoP)の計画モードの実行(画面10点)

RSoPの計画モードは
ウィザードで簡単にシミュレーションできる

 計画モードの最も一般的な利用方法は,Active Directoryの管理ツールから起動する方法である。例えば,OUに割り当てられたグループ・ポリシーをテストする手順を紹介しよう(図6)。

(1)[Active Directoryユーザーとコンピュータ]を起動し,テストしたいOUを右クリックして現れたメニューから[すべてのタスク]−[ポリシーの結果セット(計画)]を選択する(図6-1)。
(2)[ポリシーの結果セットウィザード]が起動し,最初の[ユーザーとコンピュータの選択]の画面で,[ユーザー情報]と[コンピュータ情報]の項目で,ユーザーのOUとコンピュータのOUを指定して,[次へ]ボタンをクリックする(図6-2)。
(3)[シミュレーションの詳細オプション]の画面で,低速ネットワーク接続なのかどうか,ループバック処理でどのような処理をするか,対象サイトをどこにするかなど,オプション設定を行う(図6-3)。
(4)[ユーザーセキュリティグループ]の画面で,ユーザーが所属するセキュリティ・グループを設定する(図6-4)。
(5)[コンピュータセキュリティグループ]の画面で,コンピュータの所属するセキュリティ・グループを設定する(図6-5)。
(6)[ユーザーのWMIフィルタ]の画面で,ユーザー向けのWMIフィルタを指定する(図6-6)。
(7)[コンピュータのWMIフィルタ]の画面で,コンピュータ向けのWMIフィルタを指定する(図6-7)。
(8)[選択の要約]の画面で,どのような設定をしているか確認する(図6-8)。
(9)完了すると(図6-9),結果セットのウインドウが開く(図6-10)。


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図7●[ヘルプとサポートセンター]画面からRSoPのログ・モードを起動できる

RSoPのログ・モードは
「ヘルプとサポート」からも利用できる

 ログ・モードの場合は,MMCスナップインで[ポリシーの結果セット]を追加する。基本的な利用手順は,前述の計画モードとほとんど同じである。他のユーザーにおける適用状況も分かる。

 ログ・モードは,トラブルシューティングのために使うことが多い。そこで[ヘルプとサポート]から起動する方法も用意されている。他のツールと異なり,一覧表示に適したレイアウトになっている(図7 )。
(1)[スタート]メニューから[ヘルプとサポート]を起動する。
(2)[ヘルプとサポート センター]の右ペインにある[サポートタスク]の[ツール]をクリックする。
(3)同じ画面の左ペインにある[ヘルプとサポートセンターのツール]を展開し[システムの詳細情報]をクリックする。
(4)右ペインから[適用しているグループ・ポリシーの設定を表示する]をクリックする。


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図8●結果も[ヘルプとサポートセンター]の中に一覧表になって表示される

 しばらくすると,現在ログオン中のユーザーとログオン中のコンピュータに適用された結果が表示される(図8 )。適用対象となるコンピュータを変更して結果の表示を実行できるが,ユーザーに関しては,現在ログオン中のユーザーの結果に限定される。設定項目が少なく手軽に利用できるのは利点だ。

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 以上で本連載も一応の完結である。Active Directoryについての初歩から実践までをなるべくコンパクトにまとめてみた。もちろん,実際の運用には,さらに多くの知識が必要であるが,基本的な概念と操作方法は理解していただけたと思う。

 Active Directoryは,Windows Server 2003で追加された機能も多いが,基本的な考え方は変化していない。今後も,数年間は大きな変化はないだろう。本連載が,Active Directoryについて深く学習するきっかけになれば幸いである。

■参考図書■
横山哲也他著『Windows Server 2003完全技術解説』(日経BP社)
http://bpstore.nikkeibp.co.jp/item/main/148222817440.html