◆ユーザーの課題◆出光興産は,各種生産システムのハードウエア部品の調達が困難になり,リプレースを迫られていた。Windowsプラットフォームで全面再構築することに決まったが,連続運転に不可欠なクラスタ機能の切り替え(フェイル・オーバー)時間の長さに満足できなかった。
◆選んだ解決策◆フェイル・オーバーにかかる時間を短縮するために,サーバーがダウンする予兆を検知するプログラムを開発。問題が起こる前に処理系を切り替えて,生産システムが一時停止する時間の短縮を図った。
◆結果と評価◆この仕組みにより,フェイル・オーバーにかかる時間を3分から30秒程度にまで短縮できた。また,Windowsプラットフォームに移行することで,構築コストを旧システムの20分の1に抑えた。
![]() |
図1●出光興産がWindows 2000で再構築した生産系システムの構成 |
このシステムはWindows 2000プラットフォーム上で稼働し,基幹サーバーはWindows 2000 Advanced Serverのクラスタ構成になっている。障害発生時にクラスタの切り替え(フェイル・オーバー)時間を大幅に短縮する仕組みを独自に開発した点が特徴である。
業務面での合理化も進め,年間5万2900時間もかかる業務の約44%をシステム化できた。構築コストも,従来システムの後継機種を選んだ場合と比べて20分の1で済んだという。
部品を扱う業者が減り調達が困難
出光興産が新システムへのリプレースに踏み切ったきっかけは,従来システムのハードウエア部品を調達するのが困難になってきたためである。
18年前に導入された生産系システムは,当時主流であったミニコンをベースにCOBOLで開発されていた。しかし,最近はUNIXやWindowsなどのオープン系システムが一般的となり,ミニコンの部品を取り扱う業者が大幅に減っていた。
OFLASの責任者である製造部プロセスシステムセンターの山村俊行所長は,「現在ミニコンの部品を調達できる会社は2社しかなく,今後も提供され続けるのか分からない。もしハードウエアに重大な障害が発生したら,業務が止まってしまう」とリプレースに至った直接の理由を話す。
アプリケーション開発者の多さがWindowsを選んだ理由
ミニコンから離れる必要性はだれもが認識していたが,移行先となるプラットフォームの選定は難航した。
社内のあちこちから,信頼性の面でUNIXを推す声が多かった。しかし,コスト面でWindowsプラットフォームの優位性は明らかだった。現在のミニコンの後継機,UNIX,Windows(ハードウエアはデルコンピュータ)の3つを比較検討したところ,「WindowsはUNIXの5分の1,ミニコン後継機の20分の1のコストで済む」(山村所長)ことが分かった。
しかも,Windowsプラットフォームにはアプリケーションの開発者が多く,今後も主流であり続けることが期待できた。出光興産は移行先のプラットフォームを検討する際,コストとともにプラットフォームの将来性も重視していた。
主流のプラットフォームを使っていれば,アプリケーション開発者の数も多いため,技術者の確保に苦労しなくて済む。例えば従来のシステムでは,「当時のシステム設計・開発に携わっていたCOBOL技術者が管理職になり,現場ではかなり少なくなっていた」と山村所長は話す。また,「UNIXのC言語の開発者とWindowsのVisual Basic,Visual C++の開発者を比べても,Windows系の技術者のほうが多かった」(同)。
プラットフォームを選んだときの基準と同様に,データベース・ソフトもOracleを選んだ。「オープン系のデータベースで一番実績があるから」(山村所長)である。