◆ユーザーの課題◆ミノルタは,北米,ヨーロッパなどに拠点を置くグループ会社との連結経営を強化する基幹システムの実現を目指していた。全世界において,いつでも製品の販売状況,経営状態を把握できるようにするためだ。
◆選んだ解決策◆これまで長年使っていたR/3をバージョンアップすることに決めたが,R/3の場合,ときに「バージョンアップ=全面再構築」を意味する。そこで,新しいR/3とともにインフラも見直し,これまでのUNIXに替えてWindows 2000 Datacenter Serverを搭載するES7000を2台導入した。
◆結果と評価◆従来のシステムに比べて,初期コストはほぼ半分となり,2倍の処理速度を実現した。国内の基幹システムの導入を皮切りに,今後,北米とヨーロッパにもWindows 2000 Datacenterを導入し,各地域との連携を高める計画だ
新基幹システムの狙いは,海外グループ企業も含めた,きめ細かな連結会計や連結経営の実現にある。ミノルタ製品は海外の販売比率が80%と非常に高く,海外グループ企業の販売状況や経営状態を迅速に把握することは極めて重要なテーマだった。
世界のシステムをWin2000に集約化
これを実現するために,ミノルタは世界の拠点ごとに個別導入してきたシステム群を日米欧の3極に集約化し,各システムの基本構成をすべて統一する計画だ(図1[拡大表示])。プラットフォームは,従来のUNIXなどからWindows 2000 Datacenter Serverに順次切り替える。これにより,全世界のシステムを効率的に連携・運用できるようになる。さらに,従来から利用していたR/3を,高度な連結会計機能を備えるバージョンにアップグレードすることにした。
既に海外の各拠点の基幹システムは,2000年にR/3のバージョンアップを済ませ,全世界で連結会計を強化するための第1段階は完了した。プラットフォームの移行についても,北米の2つの拠点でhp-uxからWindows 2000 Advanced ServerとNT Server 4.0,Enterprise Editionに切り替え,ドイツでもIBMのAS/400からNT Server 4.0,Enterprise Editionにリプレースするなど,段階的に進めている。
今回,国内で稼働したWindows 2000 Datacenter Serverベースの新基幹システムは,欧米に今後導入する統合システムの原型となるものだ。まだプロジェクトは開始していないが,将来的には北米とヨーロッパにもWindows 2000 Datacenter Serverを導入し,欧米に分散配置した各地のシステム群を統合していく予定である。
10台のUNIX機を2台のES7000に
国内の新基幹システムは,32プロセッサを搭載した2台のES7000(日本ユニシス)で構成される。ES7000は,CPUやメモリーなどのハードウエアを論理的に分割し,それぞれの区画(パーティション)に別々のOSを稼働させることができる。この特徴を利用して,ミノルタは2台のES7000上に8つのWindows 2000 Datacenter Serverを独立して稼働させた(図2[拡大表示])。
これまで日本IBMのUNIXサーバー10台で処理していたシステムをES7000の各パーティションに移行させ,加えてR/3用の情報系モジュール「SAP BW」を追加できた。さらに2003年には,世界の生産・販売活動を最適化するサプライ・チェーン管理の計画系モジュール「SAP APO」を追加導入する予定である。
システムを集約したことにより,従来のUNIXベースのシステムと比べて初期導入コストは約半分で済んだという。しかも,システムのパフォーマンスは約2倍に引き上げられた。