●マイクロソフトは6月2日,ビジネス・開発用製品に対するサポート期間を従来の「最短7年」から「最短10年」に延長した。
●後継製品の出荷が遅れた場合は,その分だけサポート期間も延びる。例えばSQL Server 2000の場合,最短でも2012年までサポートを受けられそうだ。
●Windows NT 4.0やWindows XP Home Editionはサポート延長の対象ではない。ただし,今後延長される可能性もありそうである。
新サポート・ポリシーでは,無償・有償の全サポートを提供する「メインストリーム・サポート・フェーズ」の期間が「製品の発売から5年または次期バージョンの発売から2年の長いほう」に変更された。従来は「製品発売から5年」だった。有償でのみサポートを提供する「延長サポート・フェーズ」は「メインストリーム・サポートの終了から5年または次々期バージョンの発売から2年の長いほう」となり,サポート期間が従来よりも3年以上長くなった。このほか,Webサイト上で技術情報を提供する「オンライン・セルフ・ヘルプ・サポート」やセキュリティ修正プログラム(セキュリティ・パッチ)は,延長サポートの終了時点まで無償で提供されることになった。
新しいサポート・ポリシーを具体的な製品に当てはめてみよう。例えば,次期バージョンの発売が遅れている「SQL Server 2000」の場合,サポートは最短でも2012年まで継続されることになりそうだ。SQL Server 2000の発売から3年たっても次期バージョンの「SQL Server 2005」(開発コード名:Yukon)が発売されていないため,メインストリーム・サポートの期間が「SQL Server 2005の発売から2年後」まで延びるからである(図1[拡大表示])。
XPはエディションに注意
Windows XP Professionalも,次期バージョンの「Longhornクライアント」(開発コード名)の発売が遅れている。Longhornクライアントが2004年内に発売されなければ,メインストリーム・サポートは「Longhornクライアントの発売から2年後」になる。
ただしWindows XPは,エディションによってサポート期間が異なるので注意が必要だ。Tablet PC Editionのメインストリーム・サポート終了は2008年12月31日だが,延長サポート終了は2011年12月31日で「メインストリーム・サポートの終了から5年」の原則を満たさない。もうすぐ登場する「Tablet PC Edition 2005」についてもサポート期間は未定である。
Windows XP Home Editionと,それをベースにした「Media Center Edition」は「コンシューマー向け製品」に分類されるため延長の対象外である。しかも,コンシューマー向け製品には「延長サポート・フェーズ」がないため,Home Edition/Media Center Editionとも全サポートが2006年12月31日で終了してしまう。セキュリティ・パッチの提供も同時に終了することになっている(表2[拡大表示])。
Home EditionとNT 4.0はどうなる?
今回の改訂の対象外となっているWindows XP Home Editionについて,マイクロソフトアジアリミテッドの奥天陽司セキュリティレスポンスチームマネージャは,「(サポート終了までの期間が迫っているので)何らかのディシジョンを明らかにしなくてはならない。ユーザーに対する“聞く耳”は持っている」と,サポート延長の可能性を示唆する。
既にメインストリーム・サポートが終了したWindows NT 4.0についても,サポートの延長があるかもしれない。マイクロソフトの東貴彦執行役最高セキュリティ責任者は6月に開催した「Microsoft Conference」で,「今回のサポート延長は日本法人が米国本社に対してリクエストして実現したもの。日本においてはWindows NT 4.0が,情報システムだけではなく,生産システムやPOSなどにおいて,サーバーやNT Embedded(組込用のWindows NT 4.0)の形で広く普及している。これは日本法人が一番よく分かっていることで,NT 4.0のサポートに関しても米国本社にプッシュしている」と,NT 4.0のサポート延長に関しても含みを持たせた。
Windows Updateは最短で7年間のみ
セキュリティ・パッチの提供方法に関する方針も明らかになった(表3[拡大表示])。セキュリティ・パッチの提供期間は前述のように最短10年間だが,「Windows Update」で提供されるのは「延長サポートの2年目まで」となった。それ以後にセキュリティ・パッチが提供されるのは,マイクロソフトの「ダウンロード・センター」だけである。
実はWindows XP/2000の「自動更新*」機能や「Software Update Services*」も,セキュリティ・パッチの情報をWindows Updateから入手している。現状のままだとこれらの機能やサービスも延長サポートの3年目以降は利用できなくなる。
その一方でダウンロード・センターの使い勝手はあまりよくない。Windows Updateが使えなくなると,パッチが非常に入手しづらくなることが危ぐされる。これについて奥天氏は「今後,Windowsのセキュリティ・ツールは大きく変更される。例えば,Windows XP SP2の『セキュリティ・センター』には『Microsoft Baseline Security Analyzer(MBSA)』の簡易版が実装される。MBSAを使えばWindows Updateに頼らなくても必要なセキュリティ・パッチをダウンロードできるようになる」と述べ,Windows Update以外のセキュリティ修正手段が提供されることを示唆した。
Windows 2000の販売はまもなく終了
なお,サポート期間は延長されたが,製品の販売期間には変更がなかった。2004年5月31日には,Windows 2000 Serverのパッケージ販売が終了した。また,多くのPCサーバー・ベンダーは,2004年10月一杯でWindows 2000 Serverのプリインストール販売も終了する予定だ(表4[拡大表示])。
これは,マイクロソフトが2004年10月31日の時点で,PCサーバー・ベンダーに対してプリインストール用Windows 2000 Serverライセンスの提供を終了するためだ。1年後の2005年10月31日までは,代理店経由でプリインストール用ライセンスの販売が続くが,代理店から購入してまでWindows 2000 Serverのプリインストール販売を継続する大手ベンダーはNECと富士通だけである。
他のベンダーもWindows Server 2003をダウングレードした形でWindows 2000 Serverを搭載したサーバーの提供を継続するが,Windows 2000 ServerとWindows Server 2003とでは,クライアント・アクセス・ライセンス(CAL)の要件が大きく異なる(詳しくは2004年3月号特集「Windowsライセンス,ここが難しい」を参照)。「*接続クライアント数モード」のCALを購入してWindows 2000 Serverを運用しているユーザー以外は,Windows Server 2003をダウングレードしたサーバーを追加した時点でCALが新規に必要になることがあるので,注意が必要だ。