●サン・マイクロシステムズのStarSuite 6.0はMicrosoft Officeとの互換性を売り物にしたオフィス・ソフトである。ワープロ,表計算,プレゼンテーション,グラフィックスといった,オフィスでよく使われる機能を装備している。
●実際に使ってみたところ,文書ファイルの完全な互換性は実現できていないなど,Microsoft Officeの完全な代替製品として使うのは難しい。
●しかし,個人ユーザーが自宅で使うソフトとしては価格面から魅力は十分にある。今後のコスト増加に不安をもつ企業ユーザーにとっても有力な選択肢となり得よう。

図1●StarSuiteのインストール時にMicrosoft Office文書の標準プログラムとして設定することができる
 サン・マイクロシステムズが発売したStarSuite 6.0は,Microsoft Office(以下Office)が圧倒的なシェアをもつオフィス・ソフト市場の攻略を狙った戦略商品である。Officeと似たメニュー構成を持ち,Office文書ファイルを直接読み書きできるため,Officeの代替製品として期待されている。

 しかし,現行版はLinux上ではそれなりに使われているが,肝心のWindowsでは「動作が遅い」「独自のスタート・メニューから使わなければならない」といった理由から,あまり普及していない。今回の新バージョンは,これらの問題点を改善した上で日本語にも正式対応。ユーザー・サポートも提供されることになり,ようやく国内でも本格的に使える環境を整えてきた。

 そこで,リリース直前のパッケージ版StarSuiteを入手。さっそくWindows 2000 Professionalにインストールしてみた。このインストール時に,StarSuiteがdocやxlsといったOffice文書ファイルの標準プログラムとなるように設定できる(図1[拡大表示])。そうするとデスクトップやエクスプローラに表示する文書ファイルもStarSuiteのアイコンに変わる。

Office文書の読み込みで一部に不具合

 ソフトを起動してみると,メニューをはじめとするユーザー・インターフェースの類似性はそれほど高くない。ワープロ/表計算/プレゼンテーションのどのソフトでも,トップのメニューまでは同じだが,その中のサブメニューや設定画面などでは異なる部分が多い(図2[拡大表示])。ツール・バーの配置や表示フォントも異なるため,使い始めは多少とまどうかもしれない。

 肝心の文書ファイルの互換性は,やはり完全ではあり得なかった。Microsoft Wordで作成した文書,Microsoft Excelで作成したワークシート,Microsoft PowerPointで作成したプレゼンテーションを開いたところ,どれも読み込むこと自体は問題なかった。しかし,中にはフォントが正しく表示されなかったり,レイアウトが異なって表示されてしまうものもあった(図3[拡大表示])。

 StarSuiteではOfficeと同じ幅のプロポーショナル・フォントを用意するなど,書式に関してもなるべく同様に扱えるよう工夫はしているが,やはりマイクロソフトが文書フォーマットを公開していない現状では限界があるようである。

 Excelで作成したワークシートに関しても,配置したボタンなどがきちんと表示されないものがあった。さらに,古いバージョンであるExcel 5.0/95形式のファイルで保存したファイルを開くと文字が化けてしまったり,グラフがきちんと表示されない現象も生じた。以前のバージョンも混在させて使っているような環境では注意が必要となろう。

図2●Microsoft WordとStarSuite Writerの画面
トップのメニューは同じだが,サブメニューやツール・バーに関しては異なる部分が多い。
図3●Microsoft Officeの文書をきちんと表示できないケースがある
(根本 浩之=nemoto@nikkeibp.co.jp)