図1●ユーザーからマイクロソフトに報告された問題がSP-1で修正されている
この画面は,アプリケーションが異常終了したときに表示され,エラーの内容をインターネット経由でマイクロソフトに送信可能である。SP-1の修正項目は,ユーザーから送られてきたエラー報告や電話などで問い合わせがあった不具合などに対応している。
 マイクロソフトはOffice XPの修正モジュールである「Office XP Service Pack 1」(SP-1)を無償で提供している。SP-1を適用できる製品は,Office XPの各エディションと,Excel 2002やWord 2002などの単体製品である。

 SP-1は既に公開されている不具合の修正をすべて含む。ユーザーはSP-1を1つ適用するだけでOffice XPを最新の状態にできる。また,WordやExcelで不正なマクロを実行してしまうセキュリティ・ホールの対策など,セキュリティも強化できる。そのため,Office XPを使っていて不具合が発生していなくても,早急にSP-1を適用しておきたい。

 今回のSP-1に反映されている修正項目は,ユーザーがマイクロソフトに送信したエラー報告で明らかになったものが多く含まれている。エラー報告はOffice XPが異常終了したときに,マイクロソフトに送信する障害発生時のメモリー内容などのこと(図1[拡大表示])。SP-1では,エラー報告で集められた不具合のほか,ユーザーがサポートに問い合わせた内容にも対応している。
 SP-1を入手するには,Excelなどの[ツール]メニューから[Web上のツール]を選択してダウンロード・サイトに接続する(図2[拡大表示])。Web画面で,[ソフトのアップデート]をクリックすると,後は画面の指示に従うだけでSP-1のインストール・プログラム(oxpsp1.exe)をダウンロードできる。このプログラムを実行するとSP-1を適用できる。

図2●OfficeソフトからSP-1をダウンロードするWebサイトにアクセスできる
(1)WordやExcelの[ツール]メニューから[Web上のツール]を選択すると,(2)「Microsoft Office ツール サイト」にアクセスする。(3)[ソフトウエアのアップデート]をクリックすると[製品のアップデート]画面が表示される。[Office XP アップデート: Service Pack 1(SP-1)(日本語版)]にチェックを入れて,アップデート・プログラムをダウンロードできる。Webサイト「ダウンロードセンター」(http://office.microsoft.com/
japan/downloads/2002/oxpsp1.aspx
)に直接アクセスしてプログラムをダウンロードすることもできる。

 ただし,開発者向けのOffice XP Developerのユーザーは,ダウンロードしたSP-1を適用しただけでは,VBA開発支援ツールなどの開発ツールまで最新の状態に更新できないので注意する。別途提供されているDeveloper用の修正モジュール「Office XP Developer Service Pack 1」(http://www.microsoft.com/japan/office/developer/sp/)をダウンロードして適用する必要がある。
 また,ファイル・サーバーの共有フォルダからOffice XPをインストールできるように管理者用インストール・ポイントを設定している場合は,管理者用のアップグレード・モジュール(http://www.microsoft.com/japan/office/ork/journ/oxpsp1.asp)を入手して,サーバーに展開したOffice XPを更新する。そうすると,ユーザーはSP-1適用済みのOffice XPをサーバーからインストールできるようになる。

30以上の新しい不具合を修正

 SP-1には,既に修正プログラムが公開されているもの以外に,30項目以上の修正が含まれている(表1[拡大表示])。Outlookをインターネット・メールの送受信に使っている場合に起きる不具合に対する修正が多い。

 Word関連にもいくつかの不具合がある。例えば,マイクロソフトのサポート技術情報の文書番号J061830で公開している「“やく”の文字を変換すると強制終了」というものがある。これは,Windows 98/MeでIME 2002のナチュラル・インプットを使用した場合に発生する。Word 2002で“やく”と入力して変換し,もう一度変換して変換候補リストを表示すると異常終了する。ナチュラル・インプットの不具合だが,これに対応しているのが今のところWordのみであるので,SP-1で対応した。

表1●Office XP Service Pack 1に含まれる主な修正項目
詳細は,文書番号J069881のサポート技術情報(http://www.microsoft.com/
Japan/support/kb/articles/
J069/8/81.ASP
)を参照。

 これ以外に,サポート技術情報で公開されないようなめったに起こらない障害の修正も含んでいるという。

 マイクロソフトは,今後もサービス・パックを提供する予定だ。ただし,今のところ,SP-2のリリース時期は未定である。また,重要な不具合が判明した場合は,今まで通り,単独のパッチで対応する。ただし,今後リリースされるパッチは,SP-1を適用済みのOffice XPに対してのみ実行できるようになるので注意する。

(伊藤 康生=yaitou@nikkeibp.co.jp)