ついに,エントリ・クラスのPCサーバーが9万円で購入できるようになった。OSをプリインストールしていないモデルであるとはいえ安い。
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図1●10万円を切るサーバー・マシンが登場 デルコンピュータが「PowerEdge 300SC」(左)を発表したのに続いて,コンパックコンピュータは「ProLiant ML330eアドバンテージPAQ V」(中)を発表した。6月には日本IBMが「eserver xSeries 200」(右)を発表した。 |
今後,エントリ・クラスのPCサーバーは最小構成で10万円を切る価格に設定するのが標準となりそうだ。
このようなエントリ・クラスのPCサーバーは企業の部門やSOHOなどでファイル・サーバーやプリント・サーバーとして使われることが多い。こうした用途であれば,Pentium III-800MHzを搭載したPowerEdge 300SCとProLiant ML330eは,十分な性能を持っているといえる。日本IBMのeserver xSeries 200はCeleron-800MHzを搭載し,先の2製品と比べるとプロセッサ性能は多少見劣りするが,十分に使えるだろう。
実際に導入して使用するとなると,プロセッサ性能よりもメモリー容量の方が重要だ。最小構成ではメモリーは64Mバイトしか搭載していない。これでは,Windows NT/2000 Serverを動かすのがやっとだ。たとえファイル・サーバーとして使うにしても,実際には,メモリーを増設した状態で購入することになる。その上,例えば,SQL ServerやExchange Serverなどのサーバー・アプリケーションを動かすとなると,メモリーなどを一層増設する必要が出てくる。ただし,増設をしてOSなどソフト込みで20万円以下の状態で利用するなら,企業の資産にならず購入しやすい。
低価格サーバーといえど,サーバーとしての機能を最小限備えている。例えば,信頼性を上げるために,エラー・チェックを行うECCメモリーを採用したり,システム運用のサーバー管理ソフトを備えるなどだ。
サポートもミッドレンジのサーバー・マシンとほぼ同じ内容のものを受けられる。デルでは,24時間電話サポートや1年間のオンサイト・サポート,3年間のパーツ無料交換を追加料金なしで提供している。コンパックも1年間のオンサイト・サポート,3年間のパーツ保証を無料で実施している。サポート面での不安はない。
ハードディスクはIDEが標準に
現在販売されているエントリ・サーバーにはIDEインターフェースのハードディスクを標準で採用している。これは,コストを下げるためというのが最大の理由だ。従来は,信頼性を考慮してエントリ・サーバーでもSCSIのハードディスクを搭載していたベンダーもあったが,今では,どのPCサーバー・ベンダーも,エントリ・クラスの機種にはIDEのハードディスクを標準搭載している(表1)。「IDEの信頼性が上がってきたので,サーバーでもある程度使えるようになってきた」とコンパックのIAサーバ製品本部 製品企画部部長の香取明宏氏はいう。
ただし,一口にIDEといっても,各ベンダーは転送速度が異なるものを採用している。例えば,デルのPowerEdge 300SCでは,Ultra ATA/33という転送速度が33.3Mバイト/秒の比較的低速なものを採用している。一方,コンパックのProLiant ML330eは100Mバイト/秒のUltra ATA/100を採用している。
ほかには,ミッドレンジ以上の機種と比べると,使えるオプションを限定するなど拡張性が乏しくなっている場合がある。例えば,ほとんどの低価格サーバーはRAIDオプションを用意していない。低コストでRAIDを導入できるIDE-RAIDが実用的になってきているので,サーバーの信頼性や入出力速度を上げるために,導入したい場合があるが,現状では,1つ上のクラスの製品を購入する必要がある。
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表1●各社のエントリ・サーバー機のラインナップ 10万円を超える製品も1年前と比べて,1万~2万円ほど価格が下がっている。ディスクはIDEが主流になった。 |