クライアント向けのWindows 2000 Professionalの安定性について「満足」あるいは「ほぼ満足」と回答したユーザーは全体の67%。サーバー向けのWindows 2000 ServerあるいはAdvanced Serverの安定性について「満足」あるいは「ほぼ満足」と回答したユーザーは61%。
このほど日経Windows 2000編集部が実施した「Windows 2000の信頼性に関するアンケート」調査ではこのように満足感が優勢な回答者が,数字の上では過半数を占めた。
Windows 2000は数々の新機能を装備して,この2月に登場した。企業向けOSである同製品にとって,動作の安定性などの信頼性は,ユーザーが最も高い関心を持つポイントの1つである。ハングアップやエラーがよく出るようでは新機能も台無しだ。
そこで,日経Windows 2000編集部では製品発売から5カ月弱経った7月5~7日,Windows 2000 ProやWindows 2000 Server(あるいは同Advanced Server)のユーザーを対象にそれぞれについて安定性や経験した障害やその原因などを尋ねるアンケートを弊誌のWebサイトで実施した。
今回は,速報値として1541人分(のべ1731人分)の回答を集計した結果をお伝えする。今後,一部の矛盾したデータを取り除くなどの調整をする可能性はあるが,その場合も傾向は変わらないレベルのデータである。
8割のProユーザーは障害を経験
Proに関する質問では,記事執筆時点で1378人の回答を集計した。図1[拡大表示]のように「満足」と「ほぼ満足」の回答が「不満」と「やや不満」を大きく上回った。
ただし,これを持ってWindows 2000では障害がないと解釈することはできない。他の質問と総合すると,多くの回答者は障害を経験しているが許容しているというイメージだ。
たとえば,図2[拡大表示]に示した障害のいずれかを一度でも経験したユーザーは全回答者の8割に達する。「稼働中にアプリケーションが異常終了」が最も多く4割強が経験していた。続いて「OSのハングアップ」,「稼働中に応答が遅くなった」の順に多い。
障害を許容する理由の1つとしては重い障害の発生頻度が低いことが挙げられる。アンケートでは「OSのハングアップ」と「ブルー・スクリーン」のいずれかを経験したユーザーに発生頻度を尋ねた。その結果,「3カ月に1~2回(利用開始後1~2回)」が最も多く約45%だった。「1カ月に1~2回」というユーザーと合計すると4分の3ぐらいになる。解明された中で最も多かった原因は「デバイス・ドライバ」と「アプリケーション」である(図3[拡大表示])。
Serverも似た回答傾向
Windows 2000 ServerあるいはWindows 2000 Advanced Server(以下「2000 Server」)のユーザーに安定性を尋ねた結果も似たような傾向になった。こちらは記事執筆時点で,353人の回答を集計した。
安定性については「ほぼ満足」とする回答者が多少減り,「普通」という回答が増えた点がProの結果とのやや目立つ違いだ(図4[拡大表示])。
実は,ユーザーが図5[拡大表示]に示す障害のいずれかを経験した比率は約7割とProの場合より少ない。OSのハングや稼働中のブルー・スクリーンの発生頻度もProよりやや低く,「1カ月に1~2回」と「3カ月に1~2回(利用開始後1~2回)」の合計で約8割を占める。
しかし,OSハングやブルー・スクリーンの原因が「OSのバグ」であるとする比率がProよりやや多い(図6[拡大表示])。これと2000 Serverが信頼性をより求められるサーバーOSであるという点がProよりやや低い満足度に影響しているようだ。
課題は対応ハードやアプリの整備
今後の課題はハードウエアやアプリケーションの対応である。自由回答欄でもその点に関する意見が目立った。「かなり安定したOSではあると思う。しかし,やはりドライバに問題があればハングする」(東京都の男性),「とりあえずOSとしては安定していると思いますが,アプリケーションを含めシステムとして考えるとまだまだというイメージがある」(茨城県の男性)というのが典型例である。図3や図6の結果とも合致する。
マイクロソフトは一定のテストに合格したデバイス・ドライバやアプリケーションの使用を勧めているが,現状では機器ベンダーやアプリケーション・ベンダーなどの対応状況などから製品選択肢が少ない。この状況が変わらない限り,より多くのユーザーが本当の安定性を実感することは難しいだろう。