表1●MCPの上級資格

めざせMCP上級資格

 45科目のうち1科目でも合格するとMCPになれるので,1科目しか合格していないMCP有資格者の評価は,実はあまり高いものではない。MCPにはいくつかの上級資格が設定されている(表1[拡大表示])。例えば,クライアントOS関連科目(1科目),ネットワークシステム関連科目(3科目),システム設計関連科目(1科目),Windows 2000トラック(2科目選択)と合計7科目を規定にしたがって取得すると,マイクロソフト認定システムエンジニア(MCSE,Microsoft Windows 2000トラック)に認定される。このような上級資格としては,マイクロソフト認定システムアドミニストレータ(MCSA),マイクロソフト認定データベースアドミニストレータ(MCDBA),マイクロソフト認定アプリケーションデベロッパー(MCAD),マイクロソフト認定ソリューションデベロッパー(MCSD),マイクロソフト認定トレーナー(MCT)があり,それぞれ認定に必要な科目が設定されている。

 私の周りにもMCSE有資格者が大勢いるが,3カ月であっという間にMCSEを取得した人もいれば,5年がかりでやっとという人もいる。しかし,みんなMCSEを取得するとなぜか風格が出てくるのも事実である。やはり,1科目だけ合格してMCPと名乗るよりも,MCSEをはじめとする上級資格を目指すべきだろう。MCSEなどの上級資格はIT業界の転職にもかなり有利のようで,また業界の評価も高い。

制度そのものが複雑すぎるという批判も多い

 MCSEのところで「Microsoft Windows 2000トラック」という表現があったように,MCPにはWindowsのバージョンやシステム・アプリケーションのバージョンなどがあって複雑化している。さらに以前とは制度が異なっている。例えば,従来は二つ以上前のバージョンで取得した科目は失効していたが,この制度は不評であったため廃止され,旧バージョンで取得した資格でも失効しなくなった。さらに,45科目の試験科目そのものも廃止や新設があるため,さらにややこしくなっている。

 もっとも,1科目だけ合格すればMCPと名乗れる点は逆に評価できる点でもあって,福岡県柳川高校のようにMCP対応の教育を行っている高校があるのも興味深い。

PCの操作とWindowsが好きになることが合格の秘けつ

 MCPはマイクロソフトのベンダー資格であるが,なにぶんにもまずはPCの操作そのものが好きにならないと合格はままならない。Windowsクライアントはもちろんのこと,サーバー関連の知識も要求されるため,単に利用者にとどまらず,自宅でも積極的にサーバーを立ち上げてみたりと,自分の力で問題を解決する能力を伸ばせる人が合格する。

 MCPの試験対策の講習もいろいろあるので,機会があればぜひ参加したいところだが,企業からの受験者が多いためか,受講料がかなり高いものが多い。全体の半数の個人受講者はテキストや問題集(残念ながら高価な書籍が多い)中心の勉強にならざるをえない。ちなみに,日経BPソフトプレスから出ているMCP関連書籍(MCSEスキルチェック問題集等)は,受験者の間では表紙の色から「青本」と呼ばれている。

 MCPは知識集約型ではなく実践型の試験なので,自分でサーバーを立ち上げたり,一通りOfficeなどをインストールしたり,Visual C++でちょっとしたプログラムを作り上げることが苦労なくできるようになれば,MCP上級資格も狙いやすくなる。

 私が主宰している@niftyライセンス試験フォーラムのようなネット上のコミュニティに参加し,受験者同士で情報交換するのも有用だ。もっとも,インターネット上のコミュニティ・サイトは諸事情で閉鎖されることが多い。MCP受験者は受験問題を外にもらすなどの行為が禁止されているのもその諸事情の一つである。

 多くの課題があるが,MCPをきっかけに転職に成功した友人も多く,MCSEなどのMCP上級資格の評価が高いのは事実。マイクロソフトの言いなりになるのはいやだという人も多いだろうが,一番商売になるのはマイクロソフト製品だという販売店やシステム・インテグレータ(SI)も多い。この事実を踏まえて,好き嫌いせず,仕事上のベンダー資格と割り切ってスキルアップしてみるのも,さっぱりして趣があるのでは?