Q 質問 インターネット・メールを送信したところ,配信できなかったというエラー・メールがきました。原因追求の方法を教えてください。

A 回答 メール転送の仕組みの概要を理解していれば,エラー・メールのメッセージなどから原因が分かります。


図1●電子メール転送の仕組み
メールが転送できない理由は多岐にわたるが,仕組みを理解していれば判断しやすい。おおまかな仕組みは,まずメール・アドレスの「@」移行の部分をDNSを利用してどのメール・サーバーに送信すべきかを知る。次に実際にメールを転送する
 メール転送の失敗原因は多岐にわたります。ただ,メール転送の仕組みの概要を理解していれば,エラー・メールのメッセージを見ることで,失敗の原因は送信メールの不備にあったのか,仕組みの中でうまく動かないものがあったのか,などが分かります。

 以下,A社のユーザーがB社のユーザーへメールを送信する場合を例に,仕組みの概要と,エラーが起こる個所を説明します(図1[拡大表示] )。

 まず送信者は,自身のメール・クライアント・ソフト(メーラー)にあて先メール・アドレスを記入して,送信操作をします(図1の(1))。メールはA社のメール・サーバーにSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)というプロトコルで送られます。このとき,そのサーバーのダウンや,TCP/IPの誤設定などでクライアントがネットワークを利用不可の場合は,エラーになります。このケースではほとんどのメーラーが原因と思われるエラーを表示するので,分かりやすいでしょう。

 A社メール・サーバーは,あて先メール・アドレスの「@」以降の部分を見て,どのホストに転送すべきかを自社のDNS(Domain Name System)サーバーに問い合わせます(同(2)~(4))。アドレスの@以降の部分が間違っている場合や,相手や自社のDNSサーバーに不具合がある場合は,「Host unknown」などのエラー・メールが返送されてきます。転送先のホスト(メール・サーバー)が,このアドレスからは不明であることを示しています。

 DNSへの問い合わせが成功すると,A社メール・サーバーはB社メール・サーバーにSMTPでメールを転送します(同(5))。B社メール・サーバーがダウンしているなどで通信できない場合,A社メール・サーバーは再送を試みます。サーバーの設定にもよりますが,通常は再送を数日間程度行い,最終的に送信できなければその旨のエラー・メールを送信者に返します。また,メール・アドレスの@より前の部分が誤っている場合は,「User unknown」というエラーを返信します。

 ここまで問題がなければ,メールはB社のメール・サーバーに届き,受信者はB社のメール・サーバーからメールを読み込めます(同(6))。送信者からは何のエラーもなく送信できたように見えるが,受信者にはメールが届いていない場合は,受信者側に問題がある可能性が高いです。

(本誌)