Q 質問 マイクロソフトのサーバー製品の価格体系が変わると聞きましたが,MS SQL Server 2000 では従来よりも高くなるのでしょうか。安くなるのでしょうか。

A 回答 新版は利用ユーザー数にかかわらず,1 プロセッサ91 万9000 円(Stan-dard Edition の推定小売価格)。小規模で高く,大規模では安くなります。


表1●SQL Server 7.0とSQL Server 2000 Standard Editionの価格比較
 マイクロソフトは,2000年秋以降に出荷するサーバー製品の価格体系を変更します。これまでは利用するユーザー数に応じて価格を決定していましたが,新しい価格体系「プロセッサ ライセンス」では,サーバーのCPU数のみで価格が決定します。2000年10月に出荷するSQL Server 2000 Standard Editionのプロセッサ ライセンスは,91万9000円。この価格で,社内の全端末からだけでなく,インターネット経由でも利用できます。

小規模システムでは割高になる

 プロセッサ ライセンスの導入により,利用形態によっては価格が高くなったり,安くなったりします。SQL Server 7.0を「同時ユーザー数モード」で利用している場合を想定し,SQL Server 2000のプロセッサ ライセンスと比較してみたところ,3倍以上高くなる場合や,4割程度安くなる場合がありました(表1[拡大表示],表2[拡大表示])。

表2●SQL Server 7.0 Enterprise EditionとSQL Server 2000 Enterprise Editionの価格比較

 SQL Server 7.0を同時5ユーザーで使う場合は25万5000円ですが,SQL Server 2000 Standard Editionの1プロセッサ ライセンスは91万9000円になります。このように小規模システムでは高くなりますが,逆に,大規模システムでは安くなる場合があります。社内,社外を問わず無制限アクセスで利用する場合,SQL Server 7.0 Enterprise Editionは1サーバー587万9100円ですが,SQL Server 2000 Enterprise Editionは367万6000円(1CPUの場合)です。

接続クライアント数モードは存続

 SQL Server 7.0のライセンス体系は,サーバー・マシンに必要なサーバーライセンスと,クライアントからの接続に必要な「CAL(Client Access License)」で構成されていました。このサーバー/CALモデルには,(1)CALをクライアント数分購入し,1台のクライアントから複数のサーバーに接続できる「接続クライアント数モード」,(2)サーバーごとに,CALを同時接続ユーザー数分購入する「同時ユーザー数モード」の2種類があります。そのほか,インターネットを介してサーバーに接続するには,別途「インターネット コネクタ」が必要でした(図1[拡大表示]左)。

図1●SQL Server 7.0とSQL Server 2000の価格体系の違い
SQL Server 7.0の「同時ユーザー数モード」と「インターネット コネクタ」がなくなり,新たに「プロセッサ ライセンス」が加わった

 SQL Server 2000では,「同時接続ユーザー数モード」と「インターネット コネクタ」が廃止になり,「接続クライアント数モード」か「プロセッサ ライセンス」のどちらかを選択することになります(図1[拡大表示]右)。

 SQL Server 7.0からSQL Server 2000にアップグレードする場合は,以前の利用形態にかかわらず,「プロセッサ ライセンス」と「接続クライアント数モード」のどちらでも選択できます。ただし,決定後は変更できません。

 Standard Editionの接続クライアント数モードは,5CAL付きで推定小売価格27万3000円,1CAL2万8000円。一方1プロセッサ ライセンスは91万9000円です。約30ユーザーで同じ価格になり,それ以上の場合はプロセッサ ライセンスの方が安くなります。

 接続クライアント数モードは社内システムを前提にしているため,インターネット経由で使うことはできません。一方のプロセッサ ライセンスは,社内システムでの利用,企業間連携システムでの利用,インターネットを介したコンシューマ向けのシステムでの利用など,用途を問いません。

.NET向けのサーバー製品に適用

 プロセッサ ライセンスを適用するのは,2000年秋以降に順次出荷される「.NET Enterprise Servers」という製品分類になります。具体的には,SQL Server 2000,Host Integration Server 2000,Internet Security and Acceleration Server 2000,Application Center 2000,BizTalk Server 2000,Commerce Server 2000,Small Business Server 2000,です。SQL Server 2000以外の製品は,プロセッサ ライセンスのみしか提供されません。

 なお,Windows 2000 Serverとグループウエア「Exchange 2000 Server」,統合サーバー製品の「BackOffice Server 2000」にはプロセッサ ライセンスは適用されず,従来のライセンス体系が適用されます。

(本誌)