マイクロソフトはクライアント向けOSの新版「Windows XP 日本語版」を2001年11月に出荷する予定である。企業内のヘルプデスク業務を支援する機能を追加し,既存OSとの互換性にも配慮した。実際にベータ2を試用し,従来のWindowsクライアントから移行するメリットを検証した。
拡大表示])を配布済みである*1。
以下では,実際に日本語版 ベータ2を試用した結果を踏まえてXPの製品戦略と新機能を解説した上で,従来のWindowsクライアントをXPに移行すべきか否かを探った。
2つのラインナップを一本化
米Microsoftのクライアント向けOSには,これまでWindows95/98/MeなどのWindows9x系と,Windows NT Workstation 4.0(以下NT4.0)やWindows 2000 ProfessionalなどのNT系の2つのラインナップがあった。前者は家庭向け,後者は企業向けという位置付けである。Microsoftはこれら2つのラインナップを一本化し,XPに刷新する(図1[拡大表示])。
XPは家庭向けおよび企業向けの2つのエディションを用意する。家庭向けが「Windows XP Home Edition」,企業向けが「同Professional」である。Home EditionはProfessionalの完全なサブセットであり,ドメインや同社のディレクトリ・サービス「Active Directory」が利用できず,ファイルやフォルダごとにアクセス権を設定する機能なども無い。企業ではProfessional を選択することになる。
実体は「Windows 2001」
XPは新名称と新しいGUI(Graphical User Interface)を掲げているため,一見従来と大きく変わったように見える。しかし,Windows 2000でファイル・システムやメモリー管理機能が変わったようなOSの根幹にかかわる変更はない。ソース・コードはWindows 2000ベースである。日本語版のベータ2(ビルドナンバー2462)をインストールしてみても,インストーラの画面や処理の流れ,各種設定画面などはWindows 2000とよく似ている*2。
表1●Windows XP Professionalの主な新機能(○はその機能に対応,×は対応していないことを示す) |
新たに備えたとされる機能の大半も,実はWindows Meまたは同2000で搭載済みのものだ。特に企業での利用に限定すると,有用な新機能としては表1[拡大表示]に挙げる程度のものしかない。ただ,このなかで,既存OSとのアプリケーションの互換性を確保する「AppFix」と,ターミナル・サービスのエンジンを利用してヘルプデスク業務をサポートする「リモート・アシスタンス」の2つは,XPへの移行を検討する際に注目すべき機能である。