いろいろな信号を多重化できる

 それでは,具体的にSDH/SONETではどのようにディジタル信号を多重しているのか見てみましょう。

 SDHのビット・レートは,「STM-1」と呼ばれる基本ビット・レートの整数倍になっています。STM-1の速度は155.52Mビット/秒です。またSDHは,データを運ぶチャネルの速度にも特徴があります。電話回線をベースにした64kビット/秒を基本単位としているのです。STM-1の場合,64kビット/秒のチャネルを2016個多重できます。

 一方のSONETは,STM-1の3分の1の大きさ,すなわち51.84Mビット/秒を基本ビット・レートとしています。これを「OC-1」と呼びます。

 今日では,ほとんどの光ファイバ伝送路はSDH/SONETに合わせて作られています。日本のバックボーン伝送路は2.4Gビット/秒の光ファイバ伝送を使っていますが,これはSTM-1を16個集めて多重しています。正確なビット・レートは155.52Mビット/秒の16倍で2.48832Gビット/秒になります。10Gビット/秒などのより高速な光ファイバ伝送でも同様です。

 SDH/SONETのビット・レートは,基本ビット・レートの倍数になっていますが,必ずしも基本ビット・レートのフレームを詰め込む必要はありません。1.5Mや6Mビット/秒など基本ビット・レート以下の信号のほか,広帯域のテレビ映像などのディジタル信号もうまく入れて伝送できるように作られています。さらに,ATMのセルやIPパケットなどもこのフレームに入れて伝送できるのです(pict.2[拡大表示])。