ルーター3台
経路が複数あったら?
目的地までの近さを表すメトリックで判断


 最後は,ルーター3台がトライアングル状につながった構成を考えよう。ここでのテーマは,パケットをあて先へ転送する際に経路が複数あったとき,なにを基に一つの経路を選ぶかということだ。それは,「メトリック」というキーワードをマスターすることでもある。

図6 あて先までに近い経路を選ぶ
ルーティング・テーブルには,あて先までの「近さ」を示す情報がある。それが「メトリック」である。

テーブルには近さの情報もある

 図6[拡大表示]のようなネットワークで,ルーターAにつながっているサブネットAからルーターCにつながったサブネットXへの経路を考えよう。ルーターAから見ると,サブネットXあての経路は二つある。ルーターA→C→Bと通る経路,ルーターA→Bの経路だ。

 では,ルーターAのルーティング・テーブルはどうなっているのだろうか。サブネットXあての情報は,上から4行目と5行目の二つだ。この2行は,いずれもDestinationが192.168.5.0で,Maskが255.255.255.0と同じである。

 注目したいのは,Metric(メトリック)という項目である。メトリックは,あて先サブネットまでの近さを表す情報である。ルーターは複数の経路を知っていたら,メトリックに書いてある数値の小さい方を選ぶのある。

 この例では,メトリック値が2の経路と,3の経路がある。そこでルーターAは,メトリック値が小さい2の経路を選ぶ。つまり,テーブルの4行目の方を選ぶのだ。そこには,Gatewayが192.168.2.100と書かれているから,サブネットXあてのパケットはルーターBへ転送されることになる。

 このように,ルーティング・テーブルには,「どちらの経路を優先するか」という情報がある。それがメトリックなのである。

 なお,メトリックの値を決めるのは基本的にルーター管理者である。管理者が設定しない場合は,ルーターが自動で決める。どんな数値を設定するかは管理者が勝手に決められるが,普通は目的地までのルーターの数や回線スピードなどが考慮される。