ISDNは,電話やファクシミリ,データ通信などの通信サービスを効率よく扱えるように作られたディジタル・ネットワークです。電話網と同じように,日本全国に張り巡らされていて,手軽に利用できるWAN(広域ネットワーク)と言えます。

一つのネットワークですべてのサービスを

 いま,もっとも広く利用されているWANは電話網です。これは世界規模で広がっていて,外国の主要都市ともすぐにつながります。

 世界中のどことでもつながるので,音声以外の用途にも利用したいところですが,そう簡単にはいきません。電話網はもともと電話の音声だけを送るように作られているので,画像やパソコンのデータを送るときは,ファクシミリやモデムで音声と同じような信号に変換する手間がかかってしまいます。

 また,効率的なデータ通信のためには,電話網と異なる専用のデータ通信網を用意しなければなりません。電話回線と別の回線が必要になり不便です。通信事業者も複数のネットワークを別々に作らなければならないので,コストがかかって大変です。そこで作られたのが,すべての通信サービスを一つのネットワークで扱えるISDN(総合ディジタル通信網)です。

 ISDNの最大の特徴は,すべての信号をディジタルにして送ることです。音声もディジタル化すれば,パソコンなどで扱うデータと同じパルス状の信号になります。これによって,ネットワークの中で情報の種類を区別せずにまったく同じように処理できます(pict.1[拡大表示])。

 ISDNは電話網をディジタル化して作られたものです。電話局をつなぐ回線はディジタル化されているので,電話局からユーザー宅までをディジタル化するだけで,ネットワーク全体がディジタルになります。このため,ISDNは短期間のうちに全国で利用できるようになりました。