送り直しを省いて高速伝送

 データ伝送では,エラーは避けられません。しかし,データ中の1ビットでもエラーを起こすと,文字化けを起こしたり,大事なデータが間違ったりして大変です。そこでパケット交換では,ノイズが多い通信回線でもデータのエラーを少なくする対策をとっています。

 パケット通信ネットワークの中核となるパケット交換機は一種のコンピュータで,入ってきたパケットをいったんメモリーに蓄積し,ヘッダーのあて先を見て目的地への回線に送り出します。このとき,パケットにエラーがあるかどうかをチェックして,もしエラーがあればそのパケットをもう一度送り直させます。こうすれば,エラーのないデータ伝送が実現できます。

 このような再送手順を持つパケット通信の代表例が「X.25」です。これは通信関連の標準化団体ITU-Tが国際標準として規定しています。X.25では,パケットにエラーが発生しているかどうかをチェックして,パケット交換機やコンピュータにデータを送り直させたりするため,時間がかかって伝送を高速にできません。最大でも64kビット/秒程度が限界です(pict.2[拡大表示])。

 昔と違って今は,伝送路に高品質の光ファイバが使われているので,伝送中のエラーが非常に少なくなっています。そこで,交換機がデータを送り直させるのをやめて,受け取ったデータをそのまま中継するだけにします。こうすると,送り直す処理がなくなる分だけ伝送速度を上げられるので,1.5M~2Mビット/秒まで高速化できます。

 この方法は「フレームリレー」と呼ばれ,LANとLANを結ぶネットワークなどに使われます。パケット交換と同じ原理なのでデータ通信に適していて,しかも高速にデータを送れます。