私たちが日頃使っている電話のネットワーク(電話網)は,音声の伝送を第一の目的としています。そのため,データ伝送では回線を効率よく使えません。データ通信には,データを細かく分けて送るパケット通信が向いています。

データ信号を分割して送る

 電話のネットワークでは,通信中は送信側と受信側の間に1本の回線をつないで,いつでも声を送れるようにしています。このため,通話が途中で切れることがありません。その半面,通話中にお互いが黙っていてもその回線は使われたままになっていて,ほかのユーザーは利用したくても利用できません。こうしたムダを省いて,データ信号を効率よく伝送できるネットワーク技術がパケット交換です。

 パケット交換では,まずデータ信号をある大きさに区切って,いくつかのデータのかたまりに分割します。それぞれのかたまりにはあて先などを入れたヘッダーを付けます。これをまとめて「パケット」(小包)と呼びます。

 一つひとつのパケットにあて先を付けているので,回線を切り替えなくてもいろいろな相手にデータを届けられるようになります。このため,1本の回線の中に行き先の違うパケットを交ぜて送れるわけです(pict.1[拡大表示])。ですから,空いている期間に別のパケットを入れて送ることで,回線を遊ばせておく時間を少なくできます。