いま,世界中の多くの地域と電話で話したり,インターネットでメールをやりとりできます。これはネットワークが広く張り巡らされているからです。このように広い地域をカバーするネットワークを「WANワン」と呼びます。目的や用途に応じていろいろな方式のWANが使われています。

WANとLANはカバーする範囲が違う

 通信はネットワークにつながっている端末同士で情報をやりとりするものです。電話したり,パソコンでメールをやりとりする通信相手はできるだけ多い方が便利です。そこで,日本中あるいは世界中に拡がっていて,だれとでもつながるようなネットワークが作られてきました。

 このように世界中のあちこちにいる相手と通信するためのネットワークをWAN(wide area network)または広域ネットワークと呼んでいます。WANの代表例は,私たちが日ごろ使っている電話網やISDNです(pict.1[拡大表示])。

 これに対して,会社内やビル内だけでコンピュータ通信などに使うネットワークがあります。これをLAN(local area network)または構内ネットワークといいます。

 WANとLANにはいろいろな違いがあります。WANは距離が長いので高速伝送が難しいのに対して,LANは距離が短いので高速化が容易です。電話網やISDNの伝送速度は,たかだか数十kビット/秒程度,専用線でも一般的なのは150Mビット/秒程度までです。一方,LANでは10M~100Mビット/秒が主流で,最近は1Gビット/秒のものも使われ始めています。

 だれがネットワークを構築するかも大きく違います。LANは私有地の中だけに設置されるものなので,だれでも自由に作ることができます。ところが,WANは公共の土地や設備を利用するので,専門の通信事業者が許可を得て構築しなければなりません。