電気的なノイズ(雑音)はどこにでも存在し,有線や無線の通信に干渉します。雑音をなくすことはできません。有線通信では,雑音が入らないようにケーブルの構造を工夫することが大切です。無線通信では,雑音に強い通信方式を使うことが重要になります。

ケーブルを遮へいして雑音を防ぐ

 銅線のケーブルには空中の雑音が遠慮なく入ってきます。雑音が入って来ないようにするには,信号を伝送する銅線を,銅板などで遮へい(シールド)するのがもっとも効果的です。こうすれば雑音電波はシールドに遮られて中には入ってきません(pict.1[拡大表示])。

 こうした構造を採用したケーブルの代表例が同軸ケーブルです。これは,1本の銅線を薄い銅板の円筒で取り囲んだ構造をしています。銅板の代わりに,細い銅線で編んだ網を使うこともあります。断面を見ると,中心の銅線と外側の円筒が同心円になっているので,同軸ケーブルと呼ばれます。信号を伝送するには2本の銅線が必要ですが,同軸ケーブルの場合は,中心の銅線と外側の円筒とで2本の銅線の役割を果たしています。つまり,外側の円筒は,銅線とシールドの二役をこなしているわけです。

 同軸ケーブルでは,信号を送る中心の銅線まで雑音が混入しないので,周波数の高い信号でも安心して伝送できます。そのため,高速通信を行うLANやテレビ映像を伝送するCATVなどのケーブルに使われます。家庭でテレビの受信アンテナからの引き込みにも同軸ケーブルが使われています。