雑音に強い信号の伝送方法は?

 長いケーブルや無線で信号を送ると雑音が入りやすいので,雑音に強い伝送方式を採用することが重要です。

 まずアナログ伝送の場合を考えてみましょう。雑音の電圧は伝送中の信号の電圧に重なるので,信号の振幅を変えます。このため,振幅の変化で情報を伝える振幅変調で伝送すると,雑音の影響をそのまま受けて品質が悪くなります。

 一方,周波数変調や位相変調では,情報信号は周波数または位相の変化として送られるので,振幅の変化には無関係です。だから雑音の影響をほとんど受けません(pict.2[拡大表示]の上図)。ラジオでAM放送よりもFM放送の方が雑音が少ないのはこのせいです。テレビの映像は振幅変調で送られるので,雑音が混入すると白や黒の斑点となって現れ,画面が見苦しくなります。

 ディジタル伝送は,アナログ伝送よりも雑音に強いと言えます。ディジタル信号は1か0かをパルスで送るだけなので,途中で雑音が加わって多少パルス波形が乱れても,受信側で1か0かを判別できればまったく影響はありません(pict.2[拡大表示]の下図)。しかし,パルスの振幅を反転させてしまうような大きな雑音が加わると,1か0かわからなくなり(符号誤り),信号を正しく伝えられなくなります。

 雑音がある場所でよく利用する携帯電話でディジタル方式が使われるのはこのためです。テレビでもディジタル放送が始まり,雑音があってもきれいな映像を見られるようになりました。