ディジタル信号をアナログ伝送路で送るには,変調と呼ぶ手段を使います。例えば,元の信号の周波数を伝送路の特性に合わせて別の周波数に変換することです。変調にはいろいろな方法が使われています。

変調によって信号を搬送波に乗せる

 通信ケーブルや無線,電話回線など,アナログ信号を運ぶのに使う伝送路は,送れる周波数の範囲が決まっています。これを周波数帯域といいます。単に帯域と呼ぶこともあります。

 例えば,電話回線で音声信号を伝える場合,0.3k~3.4kHzの帯域が使われています。無線伝送では,目的に応じて帯域は厳密に割り当てられます。

 こうしたアナログ伝送路の帯域は,ディジタル信号を送るのに必要な帯域とは合わないのが普通です。このため,アナログの伝送路でデータ通信する場面では,ディジタル信号をアナログ信号に変調し,伝送路の帯域に合わせてから送り出します。

 変調ではまず,データを乗せるための「搬送波」と呼ぶ信号を用意します。これは,伝送路の帯域のほぼ中心に当たるアナログ信号です。

 この搬送波の振幅や周波数,位相をディジタル信号の「0」と「1」に対応した形で変化させます(pict.1[拡大表示])。これが変調です。振幅,周波数,位相を変える変調方式をそれぞれ,振幅変調(ASK),周波数変調(FSK),位相変調(PSK)と呼びます。こうした変調によって,ディジタル信号を伝送路の帯域の範囲内で送れるようになります。