物理層の規格はいろいろな仕様の集合

 ではOSI第1層プロトコルはどのように成り立っているのか,実例で説明しましょう。

 パソコンなどの端末が通信機器をつなぐために備えるインタフェースにRS-232C(アールエス・ニサンニシー)という規格があります。このようなインタフェースはDTE(data terminal equipment)/DCE(data circuit terminating equipment)インタフェースと呼ばれます。DTEはユーザー側の端末機器――この場合はパソコン――を指します。後者のDCEはネットワークに接続するための機器――この場合はモデムやTA――を意味します。RS-232CはEIA(イーアイエー:米国電子工業会)が定めた直列(シリアル)データ伝送用の仕様です。

 実際のRS-232Cはいくつかの規格の集合体です(pict.2[拡大表示])。接続用に使われるコネクタは俗にD-Sub(ディー・サブ)と呼ばれますが,この具体的な寸法やピンの数,配置などはISO2110という国際規格になっています。またコネクタの各ピンをどのような信号に割り当てるかは,ITU-T(アイティーユーティー:国際電気通信連合電気通信標準化部会)が規定したV.24勧告にのっとっています。さらに信号の電気的な特性はV.28勧告に基づいています。これらはすべてOSI第1層の規格なのです。