データ(情報)の形式には2種類あります。それはアナログ・データとディジタル・データです。また,そのデータを伝送する方法も,アナログ伝送とディジタル伝送の二つがあります。

 アナログ・データはアナログ伝送,ディジタル・データはディジタル伝送で送るとは限りません。伝送路に合わせて,ディジタル信号でもアナログ伝送路で送る場合もあるのです。

アナログ伝送とディジタル伝送を使い分ける

 私たちが利用している情報には,音声や映像のようなアナログ情報と,コンピュータ・データのようなディジタル情報があります。

 これらの情報を伝送する場合,たいていはアナログ情報でもディジタル信号に変換してから伝送します。その理由はいくつかあります。一つは,ディジタルの方が雑音などの影響を受けにくいからです。また,ディジタル信号は圧縮しやすく,同じ情報量を送るのにアナログ信号よりも伝送コストを安くできます。

 こうしたディジタル信号のメリットは,放送や通信のさまざまな分野で生かされています。アナログ信号が使われていたテレビ放送でも,ディジタル放送が始まっています。また,携帯電話で送る音声も,現在ではほとんどディジタルに置き換わっています。

 しかし,私たちが利用する回線は,ISDNや高速ディジタル専用線といったディジタル伝送路ばかりではありません。電話回線やCATV回線のようなアナログ伝送路もあります。

 例えば電話回線では,交換機間を結ぶ中継伝送路はディジタルになっています。一方,電話機から交換機までをつないでいる加入者線の部分は,アナログになっています。最近よく高速インターネット接続に使われるADSLも,このアナログの加入者線を利用しています。

 このように,コンピュータとインターネットが普及してデータなどのディジタル信号を送る機会が増えてきたにもかかわらず,ユーザーが利用できる回線はまだアナログ伝送路が多いのが現状です。そこで,ディジタル信号を伝送路に合わせて,アナログに変換して送る工夫が必要になります(pict.1[拡大表示])。