移動通信や放送は無線が頼り

 携帯電話のように動きながら通信する移動通信にはケーブルが使えないので,どうしても無線を使わなければなりません。放送も大勢の人に同じ番組を送るので,無線を使うのが便利です。

 放送では,できるだけ広い範囲をカバーできるように,東京タワーのような高い鉄塔から大きな電力で電波を放射します。その電波は,半径100kmにまで達することがあります。一方,各家庭では,指向性の強いアンテナを電波が来る方向に向けて受信します。

 高いアンテナから大きな出力で電波を出しても,届く範囲は限られます。送信アンテナから遠くなると電波が弱くなり,雑音のせいで信号がわからなくなります。そこで,受信者の近くに別のアンテナを用意して,そちらから電波を受信できるようにします。同じ周波数を使うと二つのアンテナからの電波が混ざってしまうので,周波数は変えなければなりません(pict.2[拡大表示])。

 この考え方をさらに進めたのが携帯電話です。携帯電話の基地局は,小さな電力の電波を出す小さなアンテナを使い,カバー範囲は半径数kmです。その代わり,基地局をたくさん設置して,広いエリアでも使えるようにしています。放送の場合と同様に,隣り合った基地局は違う周波数を使って,電波の混信を防いでいます。