井上 伸雄 多摩大学経営情報学部経営情報学科教授

光ファイバと同軸ケーブルを組み合わせる

 電気信号と光信号を相互に変換するしくみがあれば,光ファイバと銅線をうまく組み合わせて,高速なネットワークを安く作れます。

 その代表例にCATVがあります。もともとはテレビ放送を流すために,銅線でできた同軸ケーブルでCATV局と家庭をつないでいました。最近では,インターネット接続や市内電話などにも利用するようになり,高速化,多チャンネル化,双方向通信への対応が進んでいます。

 同軸ケーブルは,周波数の高い電気信号を遠くまで伝えにくい性質があります。ですから,長距離の通信を高速化するには多数の増幅器が必要となり,コストが高くなってしまいます。

 同軸ケーブルを光ファイバで置き換えれば,増幅器をあまり使わずにCATVのネットワークを高速化できます。しかし,各家庭まで光ファイバを引き込むにはコストが高くつきます。

 そこで,CATV局と家庭の間に,中継装置を設置し,CATV局と中継装置の間のケーブルを光ファイバに変えます。中継装置の中には,ダイオードを組み込んだ光・電気変換器(O/E)と電気・光変換器(E/O)が入っています。中継装置から先の家庭までの短い区間は従来の同軸ケーブルをそのまま使う構成です(pict.2[拡大表示])。

 こうすれば,幹線の部分は広帯域伝送や多チャンネル化に対応できます。また,中継装置から家庭までの部分は,なんの変更も いらないので,余分なコストがかかりません。